バリ島をドライブしていると美しいライステラスが何度も目の前に現れます。見晴らしのいい場所にはカフェも増えました。島で最も美しいと言われるこのジャティルイの棚田は、世界遺産にも認定され、最近では多くの観光客が訪れるようになりました。
棚田を吹く風は水の匂いがし、火照った素肌を心地よく冷やしてくれるかのようです。美しい緑色に育った稲は風にそよぎ、まるで繰り返し押し寄せる波を見ているようです。稲穂が奏でるさらさらとした音は砂浜を走る波の音にも似ています。
熱帯のバリ島では田植えも収穫の時期も決まっていません。二期作、三期作と栽培することもあります。米のゴハンが大好きな土地柄らしい風景です。
高低差のあるバリ島のライステラスは、水の管理や農業にまつわる儀礼などを共同で行う組織「スバック」によって支えられています。その歴史は11世紀にもさかのぼり、水路も多く作られてきました。美しいライステラスにはバリ人の智慧が詰まっています。
小原孝博
1962年静岡県生まれ。日本大学芸術学部写真科卒業。出版社勤務を経て独立。バリ島では40回を超える撮影を行い、写真集『オラン・バリ』をダイヤモンド社より出版。バリ島や江の島などにて写真展も開催。6月10日より日本橋小伝馬町のiiaギャラリーにて写真展「光の音色」を開催予定。フォトワークショップは常時開催中。
Twitter @tak_KOHARA
2014.04.08(火)