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女流棋士から棋士への編入試験に注目

――合格すると史上初めての女性の棋士になるわけですね。

さくら はい。西山女流三冠は中学生から奨励会に在籍していて三段リーグでも上位の成績をとり、棋士まであと一歩に迫った方。今も強い男性棋士にもよく勝ち星を挙げています。試験の相手を務めるのは四段になりたて(棋士は四段から)の若い棋士で、そんな棋士をなぎ倒して合格するのではないかと期待しています。9月から月に1局ずつ。最大5局で3勝すれば西山さんが棋士になることができます。

――棋士と女流棋士の違いを知らない方が多いですけれど、西山さんの編入試験の報道を通して広く知られることになるかもしれませんね。女流棋士は棋士の下というわけではなく、対局以外の面でも広く活躍する様子が漫画には描かれていますね。

さくら タイトル戦などの解説では、棋士が解説し女流棋士が聞き手を務めることが多いです。棋士の面白い話を引き出したり、大きな役割を果たしています。そんな女流棋士の魅力について漫画で伝えたいと思っています。山口先生も聞き手をするときには、解説役の棋士のこと、対局者のことなどすごく調べて準備しますし、藤井聡太七冠の対局の解説をするために、事前にしっかりノートにまとめたようです。山口さんは将棋を広める「普及」にとても熱心で、イベントでも大人気。YouTube「女流棋士 山口恵梨子ちゃんねる」に初心者向けの将棋講座もアップしています。

 他にも、棋士、女流棋士のYouTubeは、強くなるための講座、将棋を指さない人も楽しめるような棋士が料理するものなど、いろいろあってお勧めです。

――初心者向けの講座があるのはいいですね。対面で将棋を習いに行くのも楽しそうですが、オンラインで将棋を覚えることもできそうです。さくらさんお勧めの方法はありますか。

さくら 「ぴよ将棋」というひよこと対戦するアプリがお勧めです。ひよこと対戦して、そのひよこはレベルが40あり、実力に合わせて強いひよこ、弱いひよこを選べます。無料なうえ、将棋のルールや駒の動かし方の説明までついていますので、まったく知らない人でも始めることができると思います。

 ちょっと強くなったら、将棋大会に出るのもお勧めです。女性だけの大会もあって、東京では大きな女性の大会がいくつかあり、5人対5人で並んでそれぞれ対局し多く勝ったチームが勝ちになる「団体戦」もあります。女性の大会は実力別に細かくクラス分けされていて、初心者でも出やすいものが多いのです。

2024.09.21(土)
文=宮田聖子
撮影=松本輝一