この記事の連載
- マンガ家・さくらはな。さんインタビュ―【前篇】
- マンガ家・さくらはな。さんインタビュ―【中篇】
- マンガ家・さくらはな。さんインタビュ―【後篇】
藤井聡太七冠のタイトル戦のニュースがちょくちょく流れる将棋の世界。ちょっと興味はあるけれど、よく分からない人も多いだろう。
マンガ家のさくらはな。さんは、プロの将棋を毎日観て、自分でも将棋を指して楽しむ大の将棋ファン。そんな経験を生かして将棋マンガ「山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々」を月刊誌「本当にあった愉快な話」(竹書房)に連載中。2024年2月には3巻目となる単行本「山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々将棋のお仕事出張編」を上梓した。そんな、さくらはな。さんに将棋のプロの将棋界のしくみや、面白さ、どうやって始めればいいかなどなどをインタビューした。
「運」ではなく努力で勝つ将棋はどんなゲームより面白い!
――将棋というと、まず楽しみ方が分からないという方もいると思います。将棋ファンは、どのようにして将棋を楽しんでいるのですか。
さくらはな。(以下 さくら) プロ棋士の将棋を観る方が多いです。インターネットテレビ局のABEMAには将棋専門チャンネルがあり、最も注目される対局であるタイトル戦は生放送され、対局者と別の棋士の解説もあります。また新聞社のYouTubeで注目の対局が生配信されることもあり、それも面白い。タイトル戦の他にも、毎日たくさんの対局が行われていて、将棋連盟Liveというスマホ向けアプリでは、その日の対局を何局も観ることができます。
最近は「観る将」と呼ばれる自分で将棋は指さないファンが増え、観る将にも楽しんでもらえるようにと将棋界全体が変わってきました。棋士は話が上手な人が多く、聴くのが楽しいです。
対局の映像や写真を見るだけでも楽しめて、映っている棋士の持ち物をチェックするファンも。対局中に持参の空気清浄機を横に置いている棋士が話題になったりもします。
もちろん、自分で将棋を指して楽しむファンもたくさんいます。私も観るだけではなく、将棋を指すこともします。プロは強くないといけませんが、アマチュアは弱くても将棋を楽しむことができる。今はインターネットを使った対局が盛んに行われています。アプリで同じくらいの実力の人と自動的にマッチして対戦できる「将棋ウォーズ」が人気で、私もよく指しています。棋士になるのは、子どもの頃から将棋が強かった方が多いですが、私のように大人になってから将棋を始めることもできます。
私はファイナルファンタジーのようなゲームをいろいろしてきましたけれど、将棋が一番面白いと思っています。運の要素が少なく自分で頑張るしかないところにも惹かれました。
2024.09.21(土)
文=宮田聖子
撮影=松本輝一