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プロ棋士になるのは狭き門

――藤井聡太七冠が22歳、同学年の伊藤匠叡王が21歳。将棋界には若い棋士がどんどん出て活躍しているのでしょうか。

さくら 実は棋士で現在10代なのは19歳の藤本渚五段と吉池隆真四段の2人だけなんです。藤井七冠は14歳(2カ月)という史上最年少で棋士になりましたし、伊藤叡王は17歳で棋士になりました。でも、最近は20代で棋士になる人が大半です。

――プロの棋士にはどうすればなれるのですか。

さくら 奨励会という棋士の養成機関に入って奨励会員同士で月に2回、1日に2~3局対局します。入るのには試験があり、大半が小学校高学年~中学生で受験します。アマ四段くらい(子どもの四段は全国大会で活躍できるレベル)の強い子どもが集まってきて合格するのは簡単ではありません。そもそもアマの段や級と、奨励会含めたプロの段や級は別物。アマの四段とプロの四段は比較にならない大きな差があります。

 奨励会の新入会員は原則6級。そこから規定の勝ち数(いいところどりで9勝3敗といった勝ち越しの条件がある)をクリアして級を上げていきます。思うように勝てず級が上がらなくて途中で辞める会員もたくさんいます。二段までは規定の勝数をクリアすれば何人でも上がれますが、三段は違います。半年かけて行われる三段リーグに参加して、リーグの上位2人だけが棋士になります。次点(リーグ3位を2回とると棋士になれる)とか棋士編入試験とかわずかに例外はありますが、基本的に棋士になれるのは半年に2人、年に4人だけです。三段リーグには今、40人以上が参加していますから、狭き門です。

 そして、奨励会には年齢制限があり、原則として26歳の誕生日を含む期間の三段リーグでプロの棋士になる四段に昇段できなければ、退会となります。

――厳しい競争を勝ち抜いた一部だけが棋士になれるのですね。

さくら そうなんです。これから棋士になるかもしれない奨励会三段を応援しているファンもいます。私も毎回、三段リーグの対戦表は時間をかけてチェックしています。

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さくらはな。
マンガ家

千葉県出身。2013年5月3日に突然将棋を始める。将棋フリーペーパー「駒doc.」にて『将棋好きに成りました!』、竹書房「本当にあった愉快な話」にて『えりりんの女流棋士の日々』を連載中。著書に『将棋「初段になれるかな」大会議』(扶桑社)などがある。
X:@kusattamarimo

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2024.09.21(土)
文=宮田聖子
撮影=松本輝一