「おニャン子に負けない、もっと強いインパクトのある曲を作ること。それがテーマになりました」
1980年代、素人らしさを武器にし、人気を集めていたおニャン子クラブ。そんな彼女たちを脅威に感じた、小泉今日子チームが“カウンター”として作った「最強のアイドルソング」とはいったい? 構成作家のチャッピー加藤氏による小泉今日子の研究本『小泉今日子の音楽』(辰巳出版)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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おニャン子旋風へのカウンター「この曲を歌えるのは私だけ」
――例えば、みなさんがよく私の代表曲に挙げてくださる『なんてったってアイドル』なんて本当に歌うのがイヤでしたから。「またオトナが悪ふざけしてるよ」って(笑)。ただ、客観的に見て「この曲を歌えるのは私だけだろう」っていう自信はあったし、そういう周囲の期待を感じてはいた。だから歌う。なんかいつもそういう感じなんです。(サイト『NIKKEI STYLE』2012年4月2日より)
「小泉今日子の代表曲」というよりも、もはやこの曲は「80年代という時代を象徴する曲」と呼ぶべきかもしれない。
現役トップアイドルが「♪アイドルはやめられない Yeah!」と高らかに歌い上げ、アイドルは“清く正しく美しく”アイドルを演じているんだ、ということまでぶっちゃけてしまった『なんてったってアイドル』。
引用した小泉のコメントは、デビュー30周年(2012年)のときのものだが、同じ内容のコメントを目にし、耳にした方も多いだろう。リリースから40年近くが経過した最近のインタビューでも、小泉はこの曲についてまったく同じことを語っている。
注目は「客観的に見て『この曲を歌えるのは私だけだろう』っていう自信はあった」という部分だ。これは田村Dとともに「今までのアイドルがやっていなかったことをやろう」「とにかく面白いことをしよう」と、道なき道を突き進んできた小泉だからこそ言える言葉である。先駆者であり続けることは相当にシンドいことだ。
2024.09.19(木)
文=チャッピー加藤