この記事の連載
カプリ島のとっておき #1
カプリ島のとっておき #2
カプリ島のとっておき #3
古代ローマ皇帝アウグストゥスが“甘美なる快楽の地”と称えたカプリ島。風光明媚で気候も温暖、地中海に浮かぶ宝石のようなその魅力は、セレブリティを虜にする華やかなリゾートや青の洞窟だけに止まらない。
緩やかに流れる時間に憩い、知られざるストーリーに心躍らせる憧れの島のもう一つの顔を知る、とっておきの旅へ。
街歩きやグルメなど、選りすぐりのお店をご紹介。
20世紀初頭のセレブが愛したアナカプリで幸せヴァカンス
![“カプリブルー”といわれる、カプリ島の透き通った海の美しさは、胸に刻まれる情景だ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/3/1280wm/img_c3401454a3753c02f3bd4048a9595d6a869947.jpg)
優雅で洗練されたリゾート。そんなイメージがあるカプリ島には、実は二つの町がある。
よく知られているのは「カプリ地区」。高級ブティックと華麗なホテルが立ち並ぶ中心地は、いかにもカプリだが、有名な観光地だけに、シーズン中の混雑は推して知るべし。
![シーズン中、観光客でぎっしりになるピアッツェッタ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/5/1280wm/img_b5ae74f0e4135148fc73f7b0aca9808e164688.jpg)
特に、日帰り客が押し寄せる日中は、島が沈みそうなほどの賑わいを見せる。
![アナカプリにて。目抜き通りのカフェで、のんびりひと休み。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/1280wm/img_00598bc30b4cd6fae0922c8c43929400141377.jpg)
そして、もう一つが、「アナカプリ地区」だ。昔ながらのこじんまりした素朴な町並みに、思わずホッとする。
![地元の人がミサに通うサンタ・ソフィア教会。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/d/1280wm/img_6d96ff98e3ce2ac0e69ba16893c3417e184424.jpg)
「アナ」とは、古代ギリシャ語で「上」のこと。つまり上のカプリは、島の高台にあり、かつて外界と繋がる唯一の接点は、断崖絶壁に古代からある921段の「フェニキア人の階段」のみだった。
19世紀後半に両町を結ぶ道路ができるまで、互いの交流もほとんどなかったという。そのため、同じ島にありながら異なる趣の町が形成されたのだ。
![旧市街のサンタ・ソフィア教会前は、市民の憩いの場。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/8/1280wm/img_f8865df48dc4f8076bbf5c511bcd4bc1203034.jpg)
20世紀初頭、アナカプリを訪れた貴族や知識人は、隔絶された静寂の地に魅了され、別荘を建て、暮らしの中で村人たちと交流した。
白壁の家々と細い路地が続く、可愛らしい小さな町。目抜き通りをそぞろ歩けば、お土産屋さんの隣に、のんきに野菜を並べる八百屋がある。
![カプリ島の中心地、カプリ地区のウンベルト1世広場、通称ピアッツェッタに建つカプリ市庁舎。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/a/1280wm/img_ca6088273efe4272203332b0982ee438120918.jpg)
島の暮らしとツーリズムが程よく混ざり合った小さな町には、かつてのセレブリティが慈しんだ、穏やかな日常が息づいている。
![レモンが実る楽園のようなレストランで、至福のときを。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/5/1280wm/img_353a687f3f2e95fade7d2ebff24de105891259.jpg)
とはいえ、ここもカプリ島。素朴ながらも美しく、センスが光るレストランやショップも多い。
町のあちこちにちりばめられた、心ときめくビジューを集めて、自分だけのヴァカンスを紡ごう。
![カプリ島で最も高いソラーロ山リフトから、アナカプリとイスキア島を一望。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/8/1280wm/img_e84cb2805beccf9f67837f81101aa2da214414.jpg)
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Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2024.07.31(水)
文=岩田デノーラ砂和子
写真=鈴木七絵
CREA Traveller 2024 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。