この記事の連載
猫と写真家 #1
猫と写真家 #2
「一緒に平和に過ごせる時間が何よりの幸せ」
写真家・安彦幸枝さん

飼い猫にも野良猫にも隔てなくまなざしを向け、味わい深い猫の姿を切り取る安彦幸枝さん。被写体としての猫の魅力は表情の豊かさにあるという。
「思わず笑っちゃうような仕草や表情もあれば、驚くほどアクロバティックだったり、凜と美しい姿のときもある。猫はいろんな感情を呼び起こしてくれる存在です」

いま一緒に暮らすピーヤとタロロは6歳。どちらも友人の親戚の家の軒下で生まれ、3カ月違いで安彦家にやってきた。2匹を迎えた当初は17年一緒に暮らした先代猫の「くま」が健在で、3匹は祖母と孫のようにいつもぎゅっと一緒にいたのだそう。やがてくまが亡くなり、2匹の距離に変化が。
「すごく仲良しという感じではなく、ほどよく距離ができました。でも不安がりのタロロが取り乱して大声で鳴いたときにはピーヤがすっ飛んできて、タロロの顔をしきりに舐めてなだめています。やさしいな、いい関係だなと」

最近「猫が喜ぶ動画」に夢中というピーヤとタロロは、安彦さんが動画編集をしていると「見せろ見せろ」とパソコン周りに押し掛ける。「邪魔かわいくて仕事にならない」と笑う安彦さん。疲れてヘトヘトでもピーヤかタロロを抱きしめて眠れば回復するし、2匹のどんな姿にも心を動かされている。
2024.08.08(木)
文=熊坂麻美
写真=安彦幸枝
CREA 2024年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。