井上 マラソンで目標をクリアすると、少しは自信になるんですが、不思議となかなか確固たる自信には繋がらないですね。

 昨年、27時間テレビで100キロマラソンを走ったとき、100キロ走り終えたら自分は怖いものなし、みたいな気持ちになれるんだろうと思って、ゴールを楽しみにしていたんです。

 でも、いざゴールしたら、達成感はすごくあったんですけど、特に自分の中で変化は起きなくて。何も変わらなかったことが残念であり、でも、変化がないことにホッとしなかった自分に安心する気持ちもあったりして。なんなんですかね(苦笑)。

 

実家に帰るのが一番の気分転換

――ところで、オフは何をしているのですか。

井上 家では最近、梅酒や梅ジュース、紫蘇ジュースを作っています。でも、実家に帰るのが一番、気分転換になりますね。芸能界のキラキラした世界から田舎の自分の家に戻ると、なんかホッとするんですよ。

 初めて上京した時に思ったんですけど、東京にはいろんな人がいて刺激が強いじゃないですか。その中で生きるために自分はどうしたらいいのか、こういう時はどうしたらいいんだろうって、けっこう悩むタイプなんですけど、実家に戻ると「私は今のままでいいんだな」って自分の軸が戻る気がするんです。

――料理本を出版されましたが、実家でお母さんから料理のレシピを教えてもらうこともあるのですか。

井上 そうですね。実家で採れた食材でレシピを考えたり、組み合わせをいろいろ試しながら作ったりしています。私、食が好きなんですよ。それが高じて昆虫も食べるようになりました。ただ、昆虫の生態にはまったく興味がないので、さかなクンさんみたいにはなれないですね(笑)。昆虫はあくまでも食べ物。

 私が一番好きな昆虫食は、カミキリ虫の幼虫です。カブトムシやクワガタではなく、カミキリ虫の幼虫が一番クリーミーでおいしいんですよ(笑)。二度と食べたくないと思ったのは、カブトムシです。フリーズドライでそのまんま出てきたんですけど、ぜんぜんおいしくなくて。たぶんピーマンが嫌いな人と同じような感覚だと思います。

2024.07.28(日)
文=佐藤 俊