![レイレイ。2024年6月20日(木)。(筆者撮影、以下同)](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/4/1280wm/img_24e99ff7cb42a45d02953cd6d5c79d1494406.jpg)
メスのジャイアントパンダ、シンシン(真真)が19歳の誕生日を迎えた2024年7月3日(水)、上野動物園へ足を運ぶと、娘のレイレイ(蕾蕾)がいる部屋で小さな赤い物体が目に入りました。肉眼では何なのか分かりません。周りの観客も不思議そうに眺めています。帰宅後、写真を拡大したら、カットしたトマトのように見えました。
パンダの主食は竹で、上野動物園ではモウソウチク、シノダケ、マダケなどを与えています。同園での副食はリンゴ、ニンジン、パンダ団子(材料は大豆、米、トウモロコシなど)が定番。トマトは異例です。
![竹を選ぶシャオシャオ。2024年6月20日(木)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/5/1280wm/img_a5937cbe9211da8e85e6f938905c5014185357.jpg)
![竹を食べるレイレイ。2024年6月20日(木)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/4/1280wm/img_14c62adec22e5a0dfba6bc9dc461630c118196.jpg)
上野動物園に確認したところ、筆者が見たのはやはりトマトでした。「トレーニングや採食エンリッチメント(食べ物によって飼育動物の生活を豊かにする取り組み)に使う目的で、5月以降、嗜好性の高いエサの調査をしています。基本的には、上野動物園内で使用している、加工されていないものを選んで試しています」(上野動物園の担当者・以下同)。
これまで試したものは、サツマイモ、落花生、バナナ、ミルワーム(甲虫の幼虫)、カリフラワー、トマト、キュウリ、オレンジなど。「いずれも少量で試しており、2度試したものは、まだありません」
レイレイだけでなく、園内のほかのパンダたちにもこれらを試しました。反応は「いずれもにおいを嗅ぐことはありましたが、食べたものはありません」とのこと。筆者の観覧時も、レイレイはトマトに目もくれず、竹を食べるのに夢中でした。
パンダは肉も食べる
今回試したエサは、前述のように野菜や果物が中心です。異色なのはミルワーム。動物のエサとしてよく与えられる昆虫です。パンダは草食だと思われがちで、実際、食べ物はほとんど竹ですが、実は「食肉目クマ科」(「食肉目ジャイアントパンダ科」とする施設もある)に分類されます。
『つなぐ――上野動物園ジャイアントパンダ飼育の50年(抄本)』(公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園)によると、ホァンホァン(歓歓)、フェイフェイ(飛飛)、トントン(童童)、リンリン(陵陵)を飼育していた頃の上野動物園では、パンダミルク、馬肉スープ、麦飯、骨粉などで作ったミルク粥もパンダに与えていたそうです。
![水を飲むシャオシャオ。2024年6月20日(木)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/d/1280wm/img_ddabbc6a5e2ea8120a3a4544ccb19a73159801.jpg)
リンゴ、ニンジン、パンダ団子は、嗜好性の高いエサとして現在も使われています。レイレイと双子でオスのシャオシャオ(暁暁)によるニンジンの採食については以前、「成獣と同様で、大きめに切って与えており、食べています」とのことでした(参照:もうすぐ3歳! 上野の双子パンダシャオシャオ&レイレイの見分け方)。しかし最近は「レイレイは成獣と同様に食べていますが、シャオシャオはあまり食べないこともあります」
2024.07.25(木)
文・写真=中川美帆