ゴロゴロという音の周波数は脳で制御されています。横隔膜と喉頭を組み合わせて振動させ、リズムは呼吸に従います。息を吸う時にも吐く時にも振動が起き、周波数は25~150ヘルツ。ニャーニャー鳴く時のように声帯を揺らさず、閉じ開きするだけです。

 最新の研究でも、のどを鳴らす音に治癒の効果があることが確認されています。ケガをしたり体調が悪くなったりすると、猫はゴロゴロとのどを鳴らして自分を回復させます。骨折しても犬よりはるかに早く治るし、とんでもなく高いところから落ちた猫が大ケガをしても生き延びることがよくあります。また、他の哺乳類に比べて筋肉や靱帯を冒す病気が少なく、骨格の病気にかかることもほとんどありません。

 賢い動物だと思いませんか?

 

 ライオンズ教授は、猫が進化の過程でエネルギーを節約するようになったと考えています。のどをゴロゴロ鳴らすことで、エネルギーをそれほど使うことなく筋肉や臓器、骨の弾力性を維持できるのです。他の猫学者もその説を支持していて、その周波数が組織を回復させるメカニズムの解明につながると考えています。治癒力の高い周波数というのが存在するのです。

 25~30ヘルツの周波数は骨の成長を促し、骨折を治し、痛みを和らげ、炎症を軽減してくれます。25ヘルツはすでに周波数治療としてケガや手術後の組織再生に使われています。

 猫があなたに身体をすりつけてきたら、なでたり、背中をかいてあげたりしましょう。すると猫は喜んで、低い周波数(約25ヘルツ)でゴロゴロとのどを鳴らします。

 これはあなたのことが好きだからだし、本能的に自分自身も癒しているのです。

猫のゴロゴロは「人間の健康にもいい」

 私たち人間にとっても、膝の上の猫がゴロゴロとのどを鳴らすと良い効果があります。その振動でストレスホルモンの分泌が減り、心が落ち着くのです。その結果、心臓血管疾患のリスクが減り、血圧や呼吸のバランスも良くなります。特に筋肉痛や骨折のさいにはぜひ猫と一緒にいてください。

写真はイメージ ©getty
写真はイメージ ©getty

 生まれたばかりの子猫は目が見えず耳も聞こえませんが、振動を感じることができます。だから母猫は自分がどこにいるのかを知らせるためにゴロゴロとのどを鳴らします。子猫もそれに応じてのどを鳴らし、母乳がよく出るように足で踏みます。このふみふみは一生続き、気持ち良く満足しているという証。だから猫がリズムよくふみふみをしたら、それはあなたのことが大好きだからですし、同時に自分を安心させようとしていることもあります。

2024.07.13(土)
文=カリーナ・ヌンシュテッド,ウルリカ・ノールベリ,久山 葉子