映画よりも舞台で演じるのが大好きだった私は、高校を卒業すると、大学には進まず上京して、高田馬場にある劇団東芸に入団しました。声優の仕事を始めたのは、劇団の資金稼ぎのため。当時、テレビやラジオの仕事は「マスコミ仕事」なんて呼ばれて、下に見られていたんです。舞台で役をもらえなくて代わりにテレビに出るなんて言うと、「あいつは堕落してどうしようもない」と言われてしまう時代でした。

 声優としての最初の仕事は、19歳の時。テレビで放映される洋画でインディアンの少年の吹き替えをしました。ドラマと一緒で、当時のアフレコもすべて生本番。やり直しのきかない仕事で緊張する人もいたようですが、若かったせいか、勢いでこなしていました。時代はテレビの黎明期。俳優としてドラマの仕事もたくさんやりましたが、次第に洋画やアニメーションの人気が高まり、声優の仕事が増えていきました。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「オラ生まれっ放しの声優」)。

2024.07.11(木)