奥入瀬渓流●十和田湖畔から約14 ㎞にわたって美しい自然の景観が広がる奥入瀬渓流。夏には瑞々しい緑に覆われ、8月の平均最高気温は約25 ℃。さらに清流の音が心地よく涼を誘います。また、例年10月中旬からの紅葉も素晴らしい。
【青森】自然がつくり出す美景と珠玉のアートを満喫
◆十和田・奥入瀬
爽やかな涼を求める東北の旅。魅力的なデスティネーションが数あるなかで、とりわけ人気が高いのが、青森の十和田・奥入瀬エリア。
十和田湖●標高約400mの山上で静かに水を湛える十和田湖は、約20万年前に始まった火山活動によって形成された日本で唯一の二重カルデラ湖。神秘的な光景で旅人たちを魅了します。
周囲を原生林に覆われた標高約400mの十和田湖と、その畔から約14kmにわたって広がる奥入瀬渓流の清涼な絶景が素晴らしい。
奥入瀬川に沿って縫うように続く散策路をのんびりと歩き、ときおり木々のパワーを全身で感じながら深呼吸……。心身が穏やかにリフレッシュしていくのを実感できます。
蔦温泉旅館●その由緒は平安時代にまで遡る東北屈指の名湯・蔦温泉。この地で多くの文人たちに愛されてきた「蔦温泉旅館」は、風格ある建築が旅情をそそります(写真は 1918年に完成した本館)。また、2022年にはラグジュアリーな半露天風呂付き離れの客室も誕生し、とびきり贅沢な滞在を満喫できます。
また、さらなる癒やしを求めるなら、奥入瀬渓流から車で15分ほどの地にたたずむ、1000年の秘湯「蔦温泉旅館」もおすすめ。
蔦温泉旅館といえば、日本でも珍しい “源泉湧き流し” の温泉。源泉が足元から湧き出る名物「久安の湯」にぜひ。
天然・自噴の温泉で日ごろの疲れをすっかり洗い流し、青森の旬をふんだんに取り入れた会席料理に舌鼓。長い歴史を刻んできた、旅情をそそる建築も見どころです。
青森の旬をたっぷり盛り込んだ会席料理も評判。
そして、十和田・奥入瀬といえば、さまざまなアートに出会えるのも大きな魅力です。
十和田市現代美術館●アートの街・十和田の中核をなす人気ミュージアム。空間を手がけたのは、世界的に活躍する建築家の西沢立衛氏。敷地内には国内外のクリエイターによる作品約30点を収蔵するほか、「まちなか常設展示」「ストリートファニチャー」として、市内各所にも作品が点在。リラックスして鑑賞できます。前庭には巨大化した真っ赤なハキリアリの彫刻作品、椿 昇《アッタ》が。
その玄関口となる十和田市には、現代アートにおける世界的スターたちの作品を間近で鑑賞できる十和田市現代美術館が。
高さ約4mの巨大作品、ロン・ミュエク《スタンディング・ウーマン》。この迫力、実際に訪れて体感してみたい!
2021年12月に公開されたレアンドロ・エルリッヒ《建物―ブエノスアイレス》。見る者も作品の一部となるエルリッヒならではの仕掛けに、誰もが「なるほど!」と驚くこと間違いなし。
左:館内のスキマ空間には涼を誘う作品、山極満博《あっちとこっちとそっち / ぼくはきみになれない》が。右:カフェには、地元食材を使ったメニューも。「とわだ短角牛とごぼうのビーフパイ(スープ・サラダ付き)」970円。
さらに渓流散策の拠点となる奥入瀬渓流館の近くには、東北が育んできた珠玉の手仕事に触れられるセレクトショップ「暮らしのクラフト ゆずりは」も。
暮らしのクラフトゆずりは 奥入瀬店●今から30年ほど前、店主の田中陽子さんが「東北の手仕事の素晴らしさを伝えたい」とはじめた、日々の暮らしのなかで大切に使いたいハンドクラフトのセレクトショップ。 ●増沢塗の伝統をただひとりで守り継ぐ及川漆工房「南天模様の椀」11,000円。
みちのくあかね会「ホームスパンストール」110,000円、斉藤裕さん作「乱れ編み手提げ」129,600円。
各地の作家とコラボした多彩なオリジナル作品に注目。弘前こぎん研究所「こぎん刺し 手付き小袋」各11,200円。
いずれも旅の目的のひとつになる素敵な空間で、唯一無二の美意識に心が満たされるひとときを満喫したい。
ワンランク上の東北旅に乗ってみたいJR東日本の人気列車
東北新幹線で東京駅から東北地方の各都市へ●仙台駅まで約1時間30分~、盛岡駅まで約2時間10分~、八戸駅まで約2時間50分~、七戸十和田駅まで約3時間~、新青森駅まで約3時間10分~(写真は、東北新幹線「グランクラス」)。
◆東北新幹線「グランクラス」
東北の旅をもっと楽しく、贅沢なものにするなら、まず予約しておきたいのが東北新幹線「グランクラス(飲料・軽食あり)」。
東京駅では出発前のひとときを「ビューゴールドラウンジ」(8時~18時)でくつろぎながら過ごすことができ、車内ではグランクラスアテンダントがおもてなし。ウェルカムセットやドリンク、和食・洋食から選べるこだわりのリフレッシュメント(軽食)など、上質なサービスが評判です。
※「グランクラス(飲料・軽食なし)」はサービス内容が異なります。
海辺の絶景を満喫できる「TOHOKU EMOTION」●運行区間/八戸~久慈 ※土・日曜・祝日を中心に運転。(写真=マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)
◆「TOHOKU EMOTION」
東北の美味を存分に堪能する旅なら、列車全体がレストラン空間となっている「TOHOKU EMOTION」にぜひ。
ライブキッチンスペース車両も連結した列車で、東北の美食を牽引する料理人が監修するメニューを三陸の車窓とともに満喫。今夏の往路は、奥州市の老舗日本料理店によるランチコース、復路は、盛岡の人気ホテルによるデザート&アフタヌーンティーを提供します。
「TOHOKU EMOTION」で今夏提供される料理の一例(イメージ)。
2024.07.12(金)
文=矢野詔次郎
写真=長谷川 潤
CREA Traveller 2024 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
この記事の掲載号
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CREA Traveller
2024 vol.3
イタリア 理想の休日
特別定価1,800円(税込)
「CREA Traveller」2024 vol.3の特集は、「イタリア特集」。