「そうだね。番組中にネットニュースにされるのとかを防ぐのもあるかも」

《“語り手”たちは互いのエピソードを聞いて裏切り者を見つけ出し、追放することを目指します。勝利した“語り手”には賞金二百五十万円!》

 賞金二百五十万。“公開の場でゴシップを話す奴”と見なされるリスクと釣り合う金額なのか、わたしにはよく分からない。単純な確率にすれば賞金を手にできるのは七分の一なので、期待値としては四十万円にも届かないと考えると、さすがに釣り合わない気がしてきた。

《そしてこの『ゴシップ人狼』、今回は四周年記念ということでまさかの暴挙に出ました――なんと、二時間まるごと生放送でお届けいたします》

 生放送、に力強くアクセントを置いた言い方。

《トーク中心のゲームをやる番組としては異例、しかもゴシップを語るわけですからね。炎上を恐れない、屈強な精神を持った者しか参加できないと言えるでしょう》

「こういう、公式側が“前代未聞”とか“いかれてる”みたいなスタンスで煽ってくる感じってちょっと冷めますよね」

 わたしの言葉に、小羽石さんは苦笑しながら、

「いや、まあそれは分かるよ。やたら公式側のテンションが高かったり自虐したりするのってえるよね。ただ、この番組は実際本当にイカれてると思うよ。最初生放送でやるって知ったとき、よく企画通ったなって思ったもん」

《さあ!》

 MCが視聴者の注意を引くための間投詞を言い放ち、カメラが切り替わる。セット内に組まれた入場ゲートが映される。

《それでは、こんなクレイジーな番組のオファーを受けてくれた、クレイジーな“語り手”たちをお迎えしていきましょう。まずは一人目――》


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なんで死体がスタジオに!?

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2024.07.07(日)