ラランド ニシダ さん「まだ見ぬ誰かとの数奇な巡り合わせはインターネットに操られる。ITは我々を孤独にさせてくれない」

 名だたる作家や読み巧者が帯に寄せた推薦文が、この小説の強靭さを示しています。

3つの作品世界がつながっているような読後感

 今回紹介した3作品を読み終えた後に、作者も文体もまったく異なるけれど、すべての作品世界がつながっているような、不思議な読後感を抱く方もいるでしょう。

『令和元年の人生ゲーム』の沼田くんがタラタラと皇居ランをしているその脇を、Kのシティバイクが駆け抜けていく。自分の部屋で、ベッドに寝転がりながらスマートフォンでICOのTikTokのショート動画を漫然と眺めていた琴美が、ふいにミアのYouTube生配信に画面を切り替えるーー。

 少しでも気になった一冊があれば、まずは手にとっていただき、そこから2冊目、3冊目と進んでいけば、きっとあなたの心の中に、豊かな「令和」の物語世界が広がっていくはずです。

2024.07.02(火)
文=「本の話」編集部