この記事の連載

「いい年をしてお姫様なんて」と(笑)

――「本物を知る」ことがなぜ大切なのだとお考えですか?

 18世紀のフランスの言葉に、「優雅は美しさより上である」という言い回しがあります。私はこれこそ、本物であることの大事さを伝える名言だと思っています。

 若さや見た目の美しさも素敵ですが、それだけでは人生は膨らみも魅力もありません。一方、エレガンスは年齢や経験を重ねれば重ねるほど魅力が増します。

 ただ、エレガントでいるためには、心が強くなければいけません。

 「私はできます」と力強く拳を振り上げるだけではなく、いかなるときも世のこと人のことを考え、さりげなくにこやかに、そよ風のような雰囲気を醸し出しながら希望を実現する。これが、本物のエレガンスだと私は思っています。

 でも現実はなかなか理想通りにはいかないんですよね。私もブーブー文句を言ったり怒ったりしますし、家族からは「いい年をしてお姫様なんて」ともよく言われたものです。

 そんな家族が、最近は私が何をしてもニコニコ見守ってくれるようになりました。「好きなことをしていたら元気でいてくれるから」と思われているのかもしれませんが(笑)、年とともに経験が増えるのは、ある意味“財産”でもあると思って、これからも楽しく自分の信じる道を突き進んでいきたいと思います。

『今田美奈子の優雅で幸せなひととき ~Un moment élégant et joyeux~』

 まもなく、洋菓子研究家・食卓芸術家として50周年を迎えるのを記念して、新宿高島屋4階サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコでは現代にマリー・アントワネットがいたら…と想いを馳せながら今田先生が考案した期間限定のスペシャルメニューのアフタヌーンティーをご提供するほか、フランスの古城の舞踏の間に見られる市松模様をモチーフにしたケーキをご用意いたします。

 また、4階特設会場には現代にマリー・アントワネットがいたら…と想いを馳せながらアレンジしたテーブル装飾を展示いたします。ぜひおでかけください。

 期間:6月19日(水)→25日(火)
 場所:新宿高島屋 4階 サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ、4階特設会場

次の話を読む「『non-no』でチーズケーキを紹介」「ロゼール城の城主」“洋菓子界の先駆者”今田美奈子(89)が伝える“本物”の力

2024.06.18(火)
文=相澤洋美
写真=榎本麻美