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中国のシャンシャンがいる施設を視察

 2月29日(木)と3月1日(金)は開園前から並びました。開園すると、多くの人がパンダ館を目指して走り出します。のんびり歩いていると、突き飛ばされそうになるほどの勢いです。

 筆者が待機列に並んだ時間は、両日とも3時間ほど。開園前に並んだ時間を合わせると約4時間です。3月1日(金)は金曜日ですが、韓国は「三一節」(1919年3月1日に起きた日本からの独立運動を記念する日)で休日ということもあってか、いっそう混雑していました。

 三一節なので、筆者は少し緊張しながら一人で並んでいました。でも翻訳アプリを使いながら、後ろに並んでいた韓国人の夫婦と楽しくお話できました。釜山に住んでいる夫婦は、最後にフーバオに会うため夜明け前に自宅を出て、4時間半かけて車を運転して来たそうです。

 すると、夫婦の後ろに並んでいた男女2人組と、さらにその後ろの女性2人組が、筆者が日本人だと気づき、話しかけてきました。内容はもっぱらシャンシャン。「シャンシャンは大丈夫ですか?」と心配そうに聞いてきます。うち1人は勉強中の日本語で「うつ病ですか?」と尋ねました。

 そこで筆者が中国で撮影したシャンシャンの写真を見せると「良い表情ですね」「元気そうです」と安心していました。さらに「成都の空港から雅安まで遠いですか?」と聞かれ、「私も行きたいです」と話していました。シャンシャンがパンダセンターの雅安碧峰峡基地にいることまで知っていて驚きました(参照:中国ではシャンシャン見放題?)。

 実はフーバオも以前、雅安碧峰峡基地へ行く可能性があり、エバーランドの関係者が視察に行きました。その際、シャンシャンの観覧エリアで日本人の観客に会うことを期待したものの、訪問した日はシャンシャンに日本語で話しかける人はいなかったとのこと。でも数人の中国人が朝からずっとシャンシャンの前で撮影している様子を見かけたそうです。

 韓国SBSの『TV動物農場』は、飼育員のカンさんをゲストに招いてフーバオを特集した後、中国にいるシャンシャンが観客の日本語での呼びかけに反応したかのように見せる動画を4月上旬にYouTubeで公開。シャンシャンが本当に日本語に反応したかは分かりませんが、国内外で大きな反響を呼びました。

 韓国では、パンダがメディアに登場することも比較的多いです。パンダは芸能人にも人気があるようで、Red Velvetのスルギは大好きなフーバオに会いに行ったことを「成功したオタクだ」とInstagramに投稿。

 NCTのジョンウは、フーバオが中国へ行く前に放送されたバラエティー番組『フーバオとおじいちゃん』のOST(オリジナルサウンドトラック)を歌っています。(OSTにはスルギも参加)。また、IVEのレイとリズはフーバオに会った際に「韓国最高の芸能人はフーバオだ」とコメントを残しています。

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中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

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2024.06.05(水)
文・撮影=中川美帆