――弁護士になってからの仕事も男女で差があったりするんですか?

國本 たとえばDV離婚事件って非常に危険で、弁護士が仕事で恨みを買って殺されるような事件は、離婚が多い印象が僕にはあります。DV男性は権威主義的で、女性弁護士が相手だと攻撃性を抑えられない人たちがいる。だからそういう離婚案件は男性弁護士が担った方が良いと思うんですが、女性弁護士が担当することが多い。

  DV離婚案件ってそもそも手間がかかるわりに利益率が低くて、弁護士にとってはそんなにやりたくないんですよ。でもそんな危険で儲からない離婚事件や女性の性被害事件を、社会的な使命感で女性弁護士が引き受けてくれている現状があります。

 

――窃盗や殺人のような刑事事件は男性弁護士が多いイメージがあります。

國本 刑事事件の場合はまた違ったリスクがあります。弁護士が女性で被疑者被告人が男性の場合、ストーカー化することがままあります。

――國本先生は日本のリーガルドラマはあまり見ないとのことでしたが、『虎に翼』にハマってその評価は変わりましたか?

國本 正直なところリーガルドラマは食わず嫌いになっていて、本当に観ていないんですよね。

――日本のリーガルドラマへのネガティブなイメージが強いなか、『虎に翼』はどうして観てみようと思ったんでしょう。

國本 朝ドラだから、ですね。僕は『スカーレット』や『半分、青い。』が特に好きなんですが、『あまちゃん』以降の朝ドラには外れがあまりない気がしています。『らんまん』があれだけ良かったから、次は落ちるかなと思ったら『ブギウギ』も面白かったし、さすがにリーガルドラマはキツイかと思ったら『虎に翼』もいい。あと『虎に翼』を僕が楽しめているのは、戦前の法律用語に僕がそこまで詳しくないので、引っかかるところがあっても「戦前はそうだったのかな?」と思えるのも大きいかもしれません。

2024.05.23(木)
文=田幸和歌子