この記事の連載

「次作はもっとこうしたい!」が原動力に

――連載が始まって1年ほど経ちましたが、「猫」と「料理」への苦手意識は払しょくされましたか?

山崎 まだまだですね。「恋愛漫画だったらもっと早く描けるのに」と思う瞬間があります。

 でも、これまでにも苦手な題材にチャレンジした作品はあったんですよ。『シマシマ』(講談社)では、もともとイケメンが描けなかったけど、なんとかイケてる男の子たちを描くことに挑戦しましたし、『サイレーン』(同)では警察ものに興味がなかったけど一から勉強していきました。

 どの作品も私の中では「完璧」と思うレベルに到達したことはなくて、「次の作品ではもっとうまく描こう」と思うんです。ある意味、その思いが原動力となって次の作品につながっているのかもしれませんね。

おすすめレシピは「卵スープ」

――『にゃーの恩返し』に出てくる料理はどれもおいしそうですけど、レシピはどうやって考えているんですか?

山崎 料理監修を務める料理人のみやがわ丈二さんにレシピを考案いただいてます。購入する食材によって誤差が生じるので、必ず私も作って、「思ったより肉が硬い」「しょっぱい」と感じたらすり合わせていきますね。

 今作は若者向けで、登場人物は看護師や不動産会社で働くキャラクター。どちらも体を使う仕事なので、私が普段食べる料理よりは少し濃い味付けになっています。

――漫画に出てくる料理で、山崎さんの生活に定着したレシピはありますか?

山崎 第2話に出てくる「卵スープ」は簡単にたんぱく質が取れるから私もよく作りますよ。

 読者から好評だったのは第1話の「トリナスポン酢」ですね。カットした鶏ムネ肉とナスを塩コショウと片栗粉をまぶして炒め、みりんとポン酢で味付けするレシピです。登場した料理で一番作りやすくておいしいので、私も感動しました。

 漫画に登場するレシピはどれも30分以内で簡単に作れるので、忙しい人でも挑戦しやすい料理だと思います。

2024.05.25(土)
文=ゆきどっぐ
撮影=深野未季