有藤 もうね、本っ当に初出がわからなくて。高橋先生も「描いた記憶はありますが、いつだったかはわからない」とおっしゃるので、私たち捜索隊一同、とにかくネットで探しまくりました。タイトルやら何やらあらゆるワードを入れて……。
そうしたら、どうも『ビッグコミックスピリッツ』のピンナップらしいということが判明したんです。でもどの号だったかは出てこない。「明らかに連載中の絵柄ではないし、『らんま』の中後期に近いのでは……90年代か?」とアタリをつけて、埼玉の戸田にある小学館の倉庫まで行き、バックナンバーを片っ端から調べました。
一同 ええーっ!
有藤 見つけたときの喜びの大きさといったらもう(笑)。 予想通り1995年の号で、『ビッグコミックスピリッツ』創刊15周を記念したピンナップでした。洒落みたいな話なのですが、片面はこの響子さん、もう片面が高橋由美子さんのグラビアで。
森脇 えっ、女優の?
有藤 そう。高橋留美子と高橋由美子、名前が似ているからコラボしたのか……(笑)。様々な意味で強烈に記憶に残った作品ですね。
「先生、そこを選ぶんですか⁉」
森脇 僕は『MAO』の扉絵にもすごく思い入れがあって。デジタルで仕上げたイラストも素敵なんですが、先生の水彩画にはやっぱり温もりがあるよなぁ……としみじみ感じます。キャラクターがずらっと並んだこの一枚がとくにお気に入りですね。岡本はどう?『犬夜叉』の大ファンとしては。
岡本 私はコマのセレクションが印象的で、「えっ、そこですか⁉」と驚いたんですよね。ご存知のとおり『犬夜叉』には名シーンが山ほどあって、桔梗が「ただの女になれた」場面とか、奈落をついに倒すことができたクライマックスとか……。そんななか、これ、これ、これ⁉と(笑)。
森脇 5つのコマのうち、3つがコメディシーンだもんね。『MAO』もそうだけど、先生はシリアスな作品だろうとギャグは欠かさない(笑)。
2024.05.04(土)
文=「週刊文春」編集部