政治というのはしょせん、私たちの身の回りのあらゆることに関わっている
「西田先生の文章、とても大学教授とは思えないでしょう。ぶっちゃけてるよね。でも、これが持ち味。折り目正しく難しい話をする政治の本が多すぎるから、みんな政治に関心が持てなくなる。その点、西田先生は、『ふるさと納税』を批判しながら、『食べ盛りの子が3人いるので』利用していると自供している。この正直さがいいよね」と池上さん。
さらに「日本人ももっとワークライフバランスが整えば、政治について考えるゆとりが生まれるかもしれない。ヨーロッパ諸国があれだけ政治意識が高いのは、プライベートな時間が結構あるからだと思いますね」と西田さんが言及した労働時間の件に、池上さんも同様の見解を示しています。
「マイナ保険証」「ふるさと納税」「最近よく見かける電動キックボード」など身近な話題を中心に、現在の政府の方針や各政党の特徴の解説を繰り広げる西田さん。その言説に池上さんが絶妙な合いの手を入れながら本書は展開していきます。読み進めていくと、疑問に感じていたり、報道に触れながらもいまひとつわからない、と思っていた政治に纏わるあれこれを理解する糸口がみつかります。
「結局、われわれが読者のみなさんに言いたいことは『監視が必要だよ』ってことですよね。でないと、私たちの税金が無駄遣いされます」という池上さんの言葉どおり、この本をきっかけにして、自らの頭で政治を考える人になりませんか。幸せに生きるために、まずは政治を知ることから始めてみましょう!
2024.05.01(水)
文=CREA編集部
写真=西村彩子