歯磨きは口臭予防に効果無し!?
次に食べかすの除去。
「口臭の3つの原因のうち、もっとも多いと思われるのが、歯の間の食べかす。食後にしっかり取り除くことで、ニオイの発生はかなり防げます」
電動歯ブラシを持ち歩き、毎食後に歯を磨いている人も、油断は禁物。
「歯磨きは、歯をきれいにする上ではもちろん役立ちますが、口臭対策としては、ほとんど意味がありません。歯の間の食べかすを取り除くことが先決です」
歯の表面がツルツルになっても、食べかすをしっかり取り除かない限り、いずれ口からニオイが……。
とはいえ、歯のかたちは複雑だし、口の奥は目で確認するのも困難。歯ブラシだけで、食べかすをしっかり取り除くことは大変です。そこで大場先生がすすめるのが、「三角ようじ」によるケア。
「友人との外食や、デート中に口臭が気になったときは、洗面所に立って、クイックケアをしましょう。三角ようじは、丸いつまようじに比べて、歯のすきまにフィットしやすく、すばやく汚れをかき出せます。その後、水で軽くうがいをすれば、それだけで口臭の原因をかなり減らせます」
デンタルフロスや歯間ブラシでもいいのですが、ケアに時間がかかるし、いくら洗面所とはいえ、さすがに人目が気に掛かります……。三角ようじ、ポーチのお供にぜひ!
歯に由来しない口臭もある
歯科医で異常が見つからず、先に紹介したケアをしていても、まだ口が臭う……。そんなときは、耳鼻科で解決できる場合もあります。
「口臭の原因は、ほとんどが歯科の領域ですが、耳鼻科の分野では、蓄膿症や腫瘍によって、口臭が発生するケースがあるんです。口臭のほかに、黄色っぽい鼻水が出るなど、鼻に異常がある場合は、耳鼻科の受診をおすすめします」
他にも意外な原因が。それは、入れ歯の代わりに行なわれているインプラント治療。
「インプラント治療はあごの骨にボルトを埋め込んで歯をかぶせるのですが、ボルトの先端が骨を突き抜けて先端付近が化膿した場合、蓄膿症になり、膿がのどに流れて、息が臭く感じるわけです」
ドライマウスや、ドライアイの症状を併発している人も、要注意です。シェーグレン症候群などの膠原病が関わっている場合もあります。耳鼻科か内科を受診してください。まずは血液検査である程度判定できます。
女性の場合は、生理やホルモンバランス不調により口臭が強くなることがあります。また朝起きた後はみんな口臭が強いですし、緊張して口をじっと閉じていると口臭は強くなります。
口臭はほとんどの場合、オーラルケアで解決できますが、このような「例外」もあることを、覚えておきましょう。
お話をうかがったのは……大場俊彦先生 (慶友銀座クリニック院長)
医学博士。慶応義塾大学病院、国立小児病院、東京都済生会中央病院などを経て、2005年に開業。20~30代の働く女性の患者が多く、仕事やライフスタイルに合わせた医療を提供している。得意分野はアレルギー治療といびき治療。二児の父親。
URL http://www.ginzaclinic.com/index.html
2014.03.02(日)
文=中津川詔子
写真=vita khorzhevska / Shutterstock.com