一日がかりのドライブは、ほとんど交代することなく終始楽しむことができたという。運転していて疲れるという感覚は全くなく、教習時の縦列駐車もS字クランクも難なくクリアしたのだとか。
「運転は全く苦にならなくて。飽きっぽい方なのですが、車に飽きることはなさそうです」
殴り込みに行くシーンは、一番気持ちが高まった状態で臨めた
4歳で初舞台を踏み、12歳で八代目市川染五郎を襲名、歌舞伎界の未来を担う存在となった染五郎。そんな彼が今年挑むのが、かつて二代目中村吉右衛門が演じ人気を博してきた『鬼平犯科帳』シリーズだ。染五郎は父・松本幸四郎が演じる鬼平の若き日を演じ、5月公開の映画『鬼平犯科帳 血闘』では、激しい殺陣で見せ場を作る。
「殴り込みに行くシーンは、ワンカットで撮影しました。流れは当日教えていただいたのですが、何のために殴るのか、何故ここに来たのかを常に意識しながら、覚えたての手を正確に演じなければならなかった。それがクランクアップのシーンだったので、一番気持ちも高まった状態で臨めたと思います」
人は生まれ落ちたところを選べるもんじゃねぇ。だから、その先で誰を慕うかだけは選べるんじゃねぇのか――。
染五郎が放つこの台詞がひときわ印象的に描かれる本作。名門一家に生まれ、大きな期待と重圧を背負い育ってきた彼に、この言葉はどのように響いたのか。
劇場版「鬼平犯科帳 血闘」
池波正太郎の三大シリーズの一つとして知られる『鬼平犯科帳』は、“鬼の平蔵”と恐れられた火付盗賊改方長官・長谷川平蔵の捕物を軸に、濃厚な人間ドラマを描く長編シリーズ。今回の映像化では、新たな“鬼平”に松本幸四郎を、若き日の鬼平・長谷川銕三郎役に市川染五郎を起用し話題に。5月10日全国公開予定。
photographs:Ichisei Hiramatsu
hair & make-up:AKANE
styling:Nao Nakanishi
衣装協力 ジャケット¥66,000、パンツ¥35,200、シャツ¥37,400/すべてセモー(03-6451-0705)
ネックレス¥24,200/ハーゴ(ロール 03-6380-4836) リング¥13,750/ナラティブ・プラトゥーン(ロール) ほかスタイリスト私物
決定版 鬼平犯科帳 (4) (文春文庫)
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週刊文春WOMAN2024春号
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2024.04.28(日)
文=大西展子
出典元=『週刊文春WOMAN2024春号』