鈴木 46年なんですよねえ。いろんな人に「怖い人」とか色々言われるんですけども僕にとっても、いちばん「一緒にいて楽しい人」。まあ、これは年月のなせるわざですよね、そんなふうに思っています。
——先ほど宮﨑監督は凄く元気だとおっしゃっていましたが、ご本人は対談とかで「目が悪くなってきたりすごく疲れるようになってきたりしている」とおっしゃっていました。作る意欲みたいなのは、鈴木さんから見てどういうところに表れているのか。あとは、やっぱりまた何かを作ってほしいというふうに思っていますか。
鈴木 目が見えなくなったとかね、手が動かないとかね、僕に言わせりゃあ、大げさなんですよ(笑)。過剰にね、自分のマイナス点を誇示するところがあってね。それは人からの理解を得たいからなんでしょうけれど。そりゃあ老人は大事にしたほうがいい。でも傍から見ていると、イヤんなっちゃうぐらい元気なんですよねえ。まあ、少なくとも僕はそう思いますね。近しい人たちもそう思っています。それで、僕自身、彼に映画を作ってもらいたいのか、っていう話で言うと、僕の本心を言いますとね、これは、あんまり良いことじゃないのかもしれないけれども、もう一度長編映画を作るっていうのはね、そりゃあ簡単じゃないですよ。それで言うと、短編アニメっていうのを、宮﨑は一方では作ってきましたから、そういうものをやってほしい。本人には、今そういう話をしています。
——今回の作品、作画監督の本田雄さんほかアニメーターの方、錚々たるメンバーが集まって時間を掛けて作ったということですけれども、今後アニメーターの方々とのコラボだったり、展望だったり期待を含めて教えていただけますか。
鈴木 正直に言いますとね、その仕事が果たして僕の仕事だろうか、っていうことがどこかにあるんですよ。これは同じことは宮﨑にも言えるような気がします。そもそもね、若い人にその仕事を手渡して、若い人に作ってもらう。それがもしかしたら正しいかな、っていうことも去来していますね、頭の中を。
2024.04.11(木)
文=「文藝春秋」編集部