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リサイクルメタルを使ったサステナブル製法

 まず、ココットの原材料を集めるところからスタート。原材料のレシピとなるのは、金属85%、炭素燃料10%、石灰岩5%。50%はリサイクルメタルを使って、サステナブルな生産を心がけているのだそう。巨大なクレーンでさまざまな材料を拾い上げていく様子は圧巻です。摂氏約1,400度という高温の窯で、この原材料を溶解していきます。

 工程の中で最もユニークだったのが、ココットは砂でできた鋳型で鋳造されているということ! アルミニウムの型板を設計し、その型板にパリ近郊で採れた砂を押し固めて鋳型を作ります。この型板からは約5万台の砂の鋳型を作ることができ、砂は97%リサイクルされているとあって、ここにもサステナブルへの積極的な取り組みを感じられます。砂は常に厳重管理し、ちょうどいい状態を保っているのだそう。

 砂でできた鋳型に溶解した鋳鉄を流し込んで、ココットの形を模っていき、鋳鉄が固まったら、砂の鋳型から取り出します。この鋳型の砂を取り除いていく様子が興味深い! ベルトコンベアーで揺らしながら砂の鋳型を破壊し、手作業で中の鋳鉄を取り除いた後、ショットブラスト(表面に小さな球を吹きつけること)によって、残った砂を取り除いていくのです。

 そして、鋳鉄の隆起をなめらかにするため、荒磨きをかけます。ココットはカボチャやトマトといったユニークな形のものもあるため、手作業を必要とされることも。その後、もう一度ショットブラストによって、細かい磨きをかけていきます。この工程によって表面を荒くすることで、この後のエナメルが塗りやすくなるのです。

2024.03.20(水)
文=鈴木桃子