BiSHの中にいて、毎日のようにいい風を受けていると、やっぱりグループと私を切り離して自分単体のことを上手く客観視できていなかったようだ。私に限らず、グループにいながら自分を客観視することはみんな難しいのかもしれない。
モモコグミカンパニーには一体何があるのだろう。
明日は、渡辺さんとメンバー一人ひとりの個人面談の日だ。この日までにそれぞれ考えをまとめてきてほしいということだった。だけど正直、まだ私の考えはまとまっていなかった。“私は今後、これでいきます”と言えるものは見つからなかった。
芸能界に残るのか、WACKに残るのか、そんなことだって定かではない。
未来は誰にも分からないし、確実なものもない。自分の考えですら数日後には変わってしまうかもしれないのに、結論なんて今出せるものか、というのが私の正直な気持ちだった。しかし、生きていくためには自分の足で立ち、進んでいく道を決めて、歩いていくしかない。
2019年12月23日
個人面談で、BiSHがなくなったあと何がしたいかという話になった。
「正直、BiSHをとったあとの自分に何が残るのか……。BiSHがなくなったあとも自分に芸能界に残るような需要があるのか分からなくて。だから、『何がしたい』以前に、そこから定まっていなくて」
私がそう言うと、渡辺さんからは意外な言葉が返ってきた。
「お前は変わってるね。BiSHにかろうじて自分がいる、じゃなくて、自分がいるからBiSHなんだって、少しは思ってみてもいいんじゃないか」
その言葉を聞いて、目の前の景色が180度変わる気がした。
私も今のBiSHを構成する要素の重要な一つ。だから、グループがなくなっても何も残らないわけではない。きっとそういうことを言ってくれたのだと解釈した。
今まで、私はBiSHという枠組みの中に辛うじてできた隙間に身体をねじ込んで、そこからはみ出ないようにしているような、窮屈な考えを持っていた。
2024.02.28(水)
著者=モモコグミカンパニー