旧暦の1月15日は「元宵節」と呼ばれ、各地でランタン(大きな提灯)を飛ばすイベントが催されます。これは春節(旧正月)のクライマックスとされる一大イベントで、中でも平渓のものは内外に広く知られています。今回はこのイベントをご紹介したいと思います。

この時期の台湾を代表するイベントに数十万人が結集

昼間から大勢の人たちでにぎわう祭典当日の平渓

 台湾の東北部を走る平渓線。沿線には豊かな自然と昔ながらの町並みが残っており、行楽路線として人気があります。元宵節に催される「天燈節(ランタンフェスティバル)」はこの路線の途中駅、平渓で催されます。

 まずは「天燈」をご紹介しておきましょう。これは熱気球の原理を用いたランタンのことで、これを空に飛ばします。その歴史は古く、古代中国にまで遡ります。三国時代、蜀の智将、諸葛孔明が敵方に星と見間違えさせるために夜空に放ったのが起源とされています。

 平渓には清国時代に中国福建の安渓からもたらされたと言われます。当初は新年を迎えるにあたって、「五穀豊穣」や「子孫繁栄」などの願いをランタンに書き、夜空に飛ばしていたそうです。

 その後、一時期は廃れたこともあったそうですが、過疎化が進む中、町おこしの一環として注目されるようになりました。その規模は年々大きくなっており、近年は数十万人が訪れるビッグイベントとなっています。

昔懐かしい街にランタンを扱う店が軒を連ねる

会場でランタンを飛ばしたい方は、事前に公式サイト上、もしくは当日会場で午前11時までに申し込みをする必要があります。観覧は自由

 祭典当日、平渓の町はなんとも言えない熱気に満ちているはずです。普段はしっとりとした風情に包まれていますが、この日だけは家族連れやカップル、外国人観光客などで溢れかえっています。

 十分駅や平渓駅の周辺には昔懐かしい雰囲気の家並みが続き、天燈を扱う店がいくつも並んでいます。私がおすすめしたいのは十分駅近くの「阿媽の天燈」というお店。日本語が上手なおばあさんがランタンの飛ばし方を丁寧に教えてくれます。ランタンは一個100元くらいで、赤やピンク、青、黄色などいろいろな色があります。付近には、軽食を扱う屋台も出ているので、イベント前に腹ごしらえをしておくといいでしょう。

 日が暮れた頃を見計らって、会場へと向かいます。ランタン飛ばしは18時から3時間にわたって開催。参加者は100組に分かれてランタンを飛ばしますが、その合間には特設舞台で人気歌手のパフォーマンスや獅子舞などの民俗芸能が披露されます。

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2014.01.27(月)
text & photographs:Mari Katakura