「ホテルコンドミニアム」というまだ聞きなれない投資用不動産が今、富裕層の間で話題になっている。ホテルコンドミニアムとは読んで字のごとく、ホテルとコンドミニアム=マンションが組み合わさったものだ。
ホテルの部屋には通常はリビングダイニングやキッチンがないが、ホテルコンドミニアムにはこれらのスペースや設備が備わっている。中長期滞在用のサービスアパートメントに似ているが、サービスアパートメントは大都市中心部などで外国人出張者や短期駐在のための仮住居として利用されているのに対して、ホテルコンドミニアムはリゾート地で部屋を購入したオーナーが自ら利用しない時期にホテルに貸し付けて運用するものである。
ホテルコンドミニアムとは?
マンションは2LDK、3LDKなどと表示するのが通常だが、ホテルコンドミニアムは住戸内の部屋をベッドルームと称して、その数に応じて1ベッドルーム、2ベッドルームと呼ぶ。特徴的なのは、ホテルコンドミニアムでは1室の中のベッドルームごとにトイレ、洗面台、バスやシャワーが設置されていることだ。キッチンはリビングスペースなどに1か所設置され、共用で使うことができるようになっている。簡単な調理ができるようなキッチン用品、電子レンジ、冷蔵庫などが完備している。
ホテルコンドミニアムは1室(例えば2ベッドルーム)ごとに販売され、購入者は自らが別荘のように利用してもよいし、自身が利用しないときにはホテルに貸し出すことができる。ホテルは借り受けた1室を、ベッドルーム単位で顧客に提供するので、2ベッドルームであれば、同じ部屋を2組の客が利用できることになる。だからトイレやシャワーなどは各部屋に専用に取り付けられている。ホテル利用の場合は、ファミリーや仲の良い同士のカップルがそれぞれの部屋を利用しながら、キッチンで食事を作り、リビングで一緒に寛ぐことができる。
こうした利用方法はリゾート地で1週間から10日程度すごすのがあたりまえの欧米人の休暇スタイルに則ったものともいえる。また彼らは同じ室内で他人と一緒でも互いのプライバシーさえ守られていれば、同じリビングで一緒に寛ぐことにも抵抗が少ない。
2023.11.30(木)
文=牧野知弘