都内の高級マンション並みの坪単価

 このホテルコンドミニアムが大いに話題となったのが、2016年に京都市の東山にオープンしたフォーシーズンズホテル京都に併設されたレジデンシャルスイートだ。この建物は全180室のうちの57室がレジデンスタイプ。つまりホテルコンドミニアムとして分譲されたのである。当時の分譲価格は4億円から10億円程度だったが、現在(23年11月時点)での中古価格は151㎡の2ベッドルームタイプで15億円になっている。

 ホテルコンドミニアムは京都だけではなく、現在では北海道のニセコ、ルスツ、富良野、長野県の白馬、沖縄、箱根仙石原などのスキーリゾートやビーチリゾート、温泉地などに広がっている。

 北海道倶知安町岩尾別で2020年に開業した高級ホテル、パーク ハイアット ニセコHANAZONOで分譲されたホテルコンドミニアムは72㎡、半露天風呂付客室が1億8000万円。メゾネットタイプなら10億円、ゲレンデ直結タイプの客室なら14億円だった。

 またニセコ中心部の比羅夫(ヒラフ)に2014年12月に開業した「木ニセコ」の ペントハウス4ベッドルーム(251.08㎡)の中古価格は6億2000万円、坪当たり816万円。都内の高級マンション並みの坪単価をつけている。

 

 最近は富良野も大人気だ。富良野スキー場のゲレンデ前に2020年冬にオープンしたFenix Furanoは全33戸が販売開始3か月で完売。購入客の多くが香港、オーストラリア、ベトナムなどの外国人富裕層だった。2022年に竣工したFenix West の販売価格は100㎡、3ベッドルーム(定員6名)で1億4500万円だ。坪単価で480万円程度。

今のところ外国人富裕層が中心

 運用のほうはどうだろうか。宿泊料は1泊5万円から数十万円と高価格である。部屋が広く、キッチン付きでまるで自分の別荘のように過ごせる点が、ホテルにはない魅力としてリゾート地に長く滞在する外国人富裕層に好評だ。ただ、スキーリゾートではシーズンがあるため利回りとしては手数料などを控除後で約2%から3%程度のところが多いようだ。高利回りというわけではないが、減価償却費が計上でき、何といっても自身で好きな時に利用できるのが強みだ。

2023.11.30(木)
文=牧野知弘