「でも、そのやり方で火星には行けません」
けれども実際のところは、費用がかさむほどに大会社が得る利益は増える。政府から大金をもらい続けられる大会社はコスト削減やリスクを取ることとは無縁になり、イノベーションも起こせなくなる。マスクはそれが許せなかったのだ。
「ボーイングもロッキードも、実費精算のぼろ儲けが続いてくれればいいと願っています。でも、そのやり方で火星には行けません。完遂するインセンティブ(動機)がないのです」
一方、成果主義のマスクが推す「固定価格契約」なら、どういうロケットをどう作るのか、スペースXがかなり自由に開発を進められる。費用対効果の高いロケットが作れれば、スペースXは大儲けができるはずだし、作れなければ大損することになる。
「無駄に対してではなく、結果に報いるやり方です」
2023.11.19(日)
文=「文春オンライン」編集部