10年越えの熟成が生む味と香り。交響と魔性

 バイオリンのソロ・アルバムくらいかな? と思っていたワインが、いきなり香りと味の壮麗なオーケストラになる。それがワイン熟成の魔性で、深遠です。何十年間、とまでは言わなくても、新ヴィンテージを数年間熟成させるだけで、香りが格段に華やぎ、旨みに目もくらむような多層性が現れるワインも多いのです。

 従来の古典的ワインの熟成品を出す店は日本にいくつかありますが、ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)の熟成品となると、それを常備し、寛容至極にも一見客にも開けてくださる場所は、おそらく日本でも(パリでも)片手の指の数ほど。その中の貴重な一軒が京都御所南に佇むこのバーです。

2023.11.04(土)
文=寺下光彦
写真=橋本 篤

CREA 2023年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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永久保存版 偏愛の京都

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定価950円

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