この記事の連載

 予約の取れない漢方家、櫻井大典さんと、産後20kg減のダイエットを成功させた美容家、本島彩帆里さんがタッグを組み、頑張らず自分の体質に合った方法でやせる方法を提案する一冊『やる気1%から始める やせる養生』(Gakken刊)より、一部抜粋して紹介します。今回は、「甘いものとの付き合い方」篇です。

» 「異常な食欲との付き合い方」篇


「いつもいつも甘い味が欲しい」のは胃腸の弱りかも。まずは胃腸をいたわってみて

 中医学の養生に基づいた食べ方を実践し、1年間で10kg落とした櫻井さんと、何度もダイエットとリバウンドを繰り返していたけれど、妊娠をきっかけに食生活や生活習慣を見直し、最終的に20kg体重を落とした本島さん。

 かなり厳しい食事制限をしたのでは、と思いますが、実際はおふたりとも、食べることを必死に我慢して痩せたわけではないそうです。

 しかもふたりとも、甘いものも大好きなんだそう。「甘いものへの欲求が止まらない!」ときにはどうしていたのでしょうか? おふたりにお話を伺いました。

 まず櫻井さんによると、単に「甘いものが好き」というだけでなく、実は甘いものを欲するのには何かしら理由があるそうです。

「甘い味は心が欲している場合もありますが、いつもいつも甘い味を欲しているという場合は、心でなく体が甘さを欲しているのかもしれません。実は胃腸が弱っていると、常に甘い味が欲しくなるのです。

 中医学では、胃腸などの消化吸収を行う機能を“脾(ひ)”と言います。この“脾”は、中医学で五味と呼ぶ、甘(かん)・辛(しん)・苦(く)・鹹(かん)・酸(さん)の中で、甘(かん)という甘い味と最も関係が深いので、甘い味が頻繁に欲しいということは、胃腸が弱っていて、それを補おうとしているのかもしれないのです。

 いつもいつも甘い味が欲しいという人は、食事の後しばらく胃がもたれるような感じがないか、便の状態が硬すぎたり柔らかすぎたりしないかなど、胃腸の調子がおかしくないか、ちょっと観察してみてください。そして胃腸をいたわるような食事を意識してみましょう。胃腸をいたわるような食事の基本は、温かいもの、味が濃すぎないもの、油っこくないものです。ゆっくり時間をかけて食べる、お腹がパンパンになるまで食べ過ぎない、などの点もちょっと気を付けてみましょう」(櫻井さん)

 また甘い味には、“体を元気にしてゆるめてくれる”作用があるそうです。ですから“どこかが痛いときにも甘い味を欲する”こともあるそうです。

 疲れたとき、生理でお腹が痛いときなどに甘い味を欲するのは、ごく自然なことなのだそうです。

「中医学の観点から見れば、“なぜ甘い味を欲するのか”には何かしら理由があります。“どうしても甘いものがやめられない”と悩んでいるのなら、ただ“甘い味が好きだから”という理由だけでなく、体の不調が原因になっている場合もある、と知っておきましょう。

 また、食事でお腹(体)は満たされているのに、食後に甘いものを食べたくなるなら、それは心が欲しているからです。そんなときは、無理やり我慢してストレスをためるよりも、食べましょう。“毎日・たくさん”でなければ、甘いもので心を満たすことは、ストレスフリーでダイエットを続けていく助けになりますから」(櫻井さん)

2023.11.09(木)
文=斎藤真知子