この記事の連載

 予約の取れない漢方家、櫻井大典さんと、産後20kg減のダイエットを成功させた美容家、本島彩帆里さんがタッグを組み、頑張らず自分の体質に合った方法でやせる方法を提案する一冊『やる気1%から始める やせる養生』(Gakken刊)より、一部抜粋して紹介します。今回は、「異常な食欲との付き合い方」篇です。

» 「甘いものとの付き合い方」篇


食べても食べてもお腹が空くなら、心と体が不調を訴えているのかも……!

 “食欲の秋”、あれも美味しいこれも美味しいと、たっぷりと食べている方も多いと思います。

 美味しく食べられていて体調もよいのであれば特に問題はないのですが、中には“ニセの食欲”の場合があるそうです。

 中医学の養生に基づいた食べ方を実践し、1年間で10kg落とした櫻井さんと、何度もダイエットとリバウンドを繰り返していたけれど、妊娠をきっかけに食生活や生活習慣を見直し、最終的に20kg体重を落とした本島さんに、極端な食欲について伺いました。

 櫻井さんによると「とにかく食欲が抑えられない、食べても食べても満足感がない、という状態は、本当の食欲を感じているわけではない」とのこと。

「例えば定食を食べた後にハンバーガーを食べ、デザートを食べ……と、いくらでも食べられてしまうような状態だったら、それはあなたの“意志が弱い”とか、“我慢ができない”から、ではなく、心と体に不調が起こっているからかもしれません。

 “ストレスでドカ食いしちゃった”というように、心の不調によってドカ食いしてしまったという経験のある人は多いと思いますが、そういう時は心の不調だけでなく、実は体にも不調が起こっているのです」(櫻井さん)

 食欲を我慢できないのは、自分の意志が弱いから、という理由だけだと思っていました……。

「中医学の観点から見ると、そのような状態は、過度なストレスが溜まって、胃に熱がこもった“胃熱”という状態です。手術が必要になるような病気の状態とは違いますが、満腹感を感じられない、心身が通常とは違う異常な状態にある、と考えます。

 “胃熱”になる方は、仕事、学校、プライベートで何かしらのストレスがあり、考え込んでしまっている状況が多くみられます。なんらかの方法で発散させないと、そのモヤモヤが体の中に熱として溜まり、その熱が胃に集まってしまうのです。そして胃がおかしな状態になっている。ですからまず、その熱を取ってあげることが必要です」(櫻井さん)

 胃がおかしくなっていることに気づかずに、「今日はストレスを強く感じたから、食べて発散していいよね」と必要以上にずっと食べ続けていたら、胃腸にはますます負担がかかっていくというわけなんですね。

「あ~美味しい、と感じながら食べられていて、ある時点で“美味しかった~もうお腹いっぱい”と自然にストップするなら問題ありません。食事は終わったのに“何か物足りない”“なにか口寂しい”と、ずっと食べたい感じがするなら、胃熱を疑ってみてください」(櫻井さん)

2023.11.09(木)
文=斎藤真知子