だから、私が来るとワーッといって何か食べさせる、みたいな(笑)。しかも、母の従姉妹の家に行くと漫画がどっさりあって。それこそ萩尾先生の漫画もそこで読みました。
岡村 親戚の家ってなぜか漫画がたくさんあるんですよね(笑)。
よしなが そう、読み放題(笑)。だから、年のわりに早く萩尾先生の漫画を読んだんです。手塚治虫先生の『火の鳥』も読みましたし。
岡村 小学生の頃、最初にハマったのは『ベルサイユのばら』(池田理代子作)だったそうですね。僕からすれば、あの漫画もBLで、耽美な感じがするんです。
よしなが 確かに。主人公のオスカルは男装の麗人ですし。宝塚で『ベルばら』が繰り返し演じられるほど人気である理由の一つが、男役のトップ同士のラブシーンが見られる数少ない演目だから、なんだそうです。
ただ私は、最初に読んだのが小1、小2の頃。なので、いちばんよく覚えているのは、ルイ15世が天然痘に罹った場面。恐ろしくて、楳図かずお先生と同じカテゴリーで「怖っ!」(笑)。
岡村 楳図さんの漫画、怖かったですよね。僕も子供の頃に『洗礼』を読んで震え上がりました。
よしなが 小学生ってそうですよね。怖い漫画の流行が周期的にやって来て、楳図先生の漫画を持ってる子がクラスに絶対1人はいるから貸してくれる。みんなでヒ~ッてなりながら『洗礼』とか『おみっちゃんが今夜もやってくる』とかを読んでましたから(笑)。
「真壁くんカッコいい」がわからず…男女の恋愛が刺さらない
岡村 そして、大学生のときに『SLAM DUNK』をネタにしたBL漫画を同人誌で出すようになり、漫画家人生が始まったと。そもそもなぜBLなんですか?
よしなが BLが好きというより、「ボーイミーツガール」にハマれなかったんです。例えば、私が小学生のときに『ときめきトゥナイト』がめっちゃ流行ったんです。もちろん読んでましたし大好きでした。でも、「真壁くんかっこいい!」ってみんな言うんですが、私にはその気持ちがわからなかった。『ホットロード』もそう。「春山かっこいい!」がわからない。
2023.10.17(火)
Text=Izumi Karashima
Hair & make-up=Harumi Masuda(Okamura)