とはいえ、足元サビキだけでは釣りきれない大物やレア魚がたくさんいるのもまた事実。

 青物、ハタ類、底物(イシダイやイシガキダイ)など、楽園のような釣果情報が連日上がることもある。これらは遠投や専用仕掛けが必要なため、自前のタックルで挑む必要がある。今回私はシーズン初期のカワハギ、そして磯の王者とも形容されるイシダイを狙った。

 いずれも鮮魚はスーパーやお店では手が出せないほどの高級魚。交通費や仕掛け代を加味しても、自分で釣ることができれば買うよりはるかにお得である。釣り人の特権を活かせるか? 施設開場と同時に入場して釣りを開始する。

 一番乗りで来園し堤防の先端を確保した。熱海港海釣り施設の先端には大きなテトラポッドが積まれていて底物や根魚の実績が高い。あらかじめ用意しておいた岩ガニを足元に投入して一発大物を狙った。

 待ち時間でカワハギの仕掛けを組み、生のむきあさりを餌に海底を隈なく探った……が、一切餌が取られず驚くほど魚の生命感を感じられない。潮が動く時間になっても反応はなく、「今日のランチは施設で販売しているカップラーメンになるのか」と恐怖する。

 どうにかできないか。そこでカワハギ狙いの仕掛けを沈みテトラ付近に投入すると……。

 

魚の持ち込み最終受付時間という“タイムリミット”

 ようやくアタリが出た。カワハギほどの重量感はないが小気味よい引き。上がって来たのはアカササノハベラだった。

 ベラ科の魚は見た目がカラフルでゲスト魚としての認識が高く、関東ではリリースされがちだが、実は美味しい。迷うことなくキープ!

 続いて本命の高級魚! オオモンハタが釣れる。しかし、こちらは小型であったため残念ながらリリースだ。

 続いて壁沿いに仕掛けを投入すると瞬発力のあるアタリがコツコツと続く。

 根魚ではないと感じたとおり、オオスジイシモチやクロホシイシモチが入れ食いになる。から揚げにしたら美味しいのではないかと思ったが、「いや、今回の狙いはカワハギとイシダイだ」と、すでにベラを確保している私は、さらなる高みを目指すべくリリース。アタリを得たい一心でこのまま足元を狙っていると、餌取り(魚)に時間を費やしてしまう。ここで仕掛けを大きく変更した。

2023.10.05(木)
文=ぬこまた釣査団(大西)