川栄さんの人生のターニングポイントは?

――第1話では桜田和彦(柳楽さん)が「どんな人生だった?」と振り返る場面があります。川栄さんが同じように聞かれるなら、例えば、ターニングポイントはどこだったと答えますか?

 やっぱり15歳でAKB48に入ったことが、一番大きかったと思います。本当にいろいろなことを学べましたし、人としても成長できたので。その期間はあまり高校に行けなかったり、友達と全然遊べなかったり、犠牲にしていることもありました。けど、だからこそ今でもメンバーとしか遊ばないくらい仲がよくて、もう家族みたいな感じなので、出会いも含めてすごくいい経験だったと思います。

――俳優になってからの転機、俳優業にのめりこんだきっかけはあったんですか?

「役者になりたい」という目標ができたので、20歳でAKBを卒業したんです。だから、「言ったからには役者は一生続けなきゃな」という気持ちはずっとあります。当時描いていた夢も徐々に叶っていっているので、その夢を全部叶えたいとも思っています。

――川栄さんは、夢を1個叶えて満たされるというよりも、「もっと」という気持ちになるほうですか?

 夢が叶うと、いつもちょっと「どうしよう」という気持ちになるんです。それはAKBのときも今も同じかもしれません。

 AKBのときは「選抜メンバーに入りたい」という夢があって叶ったんですけど、その瞬間ぽっかりするというか。「叶っちゃったな」みたいな感じでした。別にセンターになりたい、目立ちたいとかじゃなくて、ただ選抜に入りたいという夢だったので、「あれ? なんかどうしよう?」という気持ちになったことを覚えています。

 その次に目指した役者業では、「朝ドラヒロインになること」、「大河ドラマに出ること」、「日本アカデミー賞をいただくこと」の3つを目標にしていました。現時点でふたつ叶っているので、あとひとつ叶ったらまたぽっかりしちゃうのかな、みたいな気持ちはあります。もしも叶ったら次の目標を作って、またその夢に向かえたらいいなとも思っています。

――精力的に活動するための川栄さんのモチベーションはと言うと、何かありますか?

 シンプルですけど、お芝居をするのが本当に楽しいこと。あとは、いろいろな監督さんや役者さんに会えるのもすごい刺激になって嬉しいです。それが一番大きいかな。役者さんによって演じ方やつくり方が違いますよね。すごく勉強になるし、知るのも楽しいんですよね。

――ご自身のスタイルとは違うからこそ、そこでまた発見や面白さみたいなものを見出すとでも言いますか。

 そうですね。以前、朝ドラで深津(絵里)さんとご一緒させてもらったときに、自分の意見をきちんと伝えることが本当に大切なことなんだなと学びました。それまでは自分が思ったことを伝えようとしても、「面倒くさいな」と思われたら嫌だなというのが強すぎて、何も言えなかったんです。例えば、「この役は絶対こんな動きをしないだろうな」と思っても、監督に「こうやって」と言われたら全部「はい」とやっていました。けど、自分の思っていることや意見をきちんと伝えて、みんなでつくることもすごく大切なんだなと学びました。

――一般社会でもすごくあるあるのお話だと思います。最後に、いつもはつらつとされていますが元気の源は何でしょうか?

 切り替えが早いのもあって、私いつも元気というか一定なんです。メンタルが強めなのかもしれません。なので、源と言えるものが思いつかない……(笑)。「これをやらないとダメ」とかも本当に何もないので、逆にそういうのがないから平凡に生きているのかもしれません。

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監督:長久允 串田壮史
脚本:長久允
脚本協力:益山貴司
音楽:長谷川白紙
プロデューサー:長谷川徳司(WOWOW)日枝広道(電通)鈴木康生(ゴーストイッチ)山邊博文(ギークサイト)
制作プロダクション:ギークサイト
プロダクション協力:ゴーストイッチ
制作協力:電通
製作著作:WOWOW

川栄李奈(かわえい・りな)

1995年生まれ、神奈川県出身。2010年、AKB48第11期研究生オーディションに合格し、同年デビュー。15年にAKB48を卒業以降、俳優として活躍。舞台「AZUMI 幕末編」では主演を務め、その後ドラマ、舞台、声優とさまざまな作品に出演。連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では、上白石萌音、深津絵里とともにトリプル主演を務めた。

2023.08.28(月)
文=赤山恭子
撮影=平松市聖
ヘアメイク=KUMI/KUMI
スタイリング=有本祐輔/Yusuke Arimoto