――輝いているかどうかは別にして、毎日仕事したり子育てしたりしてとにかく一生懸命生きてるんですけど……という。

安藤 以前、北京で初めての世界女性会議が開かれた時、フジテレビも女性カメラマン、女性ディレクター、女性記者、そしてキャスターの私と、女性だけの取材団を作ったんです。それを発案したのは男性上司だったんですけど、本当に満足そうでね。ただ、なんというか、これじゃあまだまだだよね、と思ってしまって。

――その日一日を「女性デー」にしただけで満足してしまっていると。

安藤 最近のLGBTQや夫婦別姓の問題を取り上げる番組を見ていて同じことを感じることがあります。うまく言語化できないのが申し訳ないんだけど、やってる感だけというか、「こういう問題を扱って偉いでしょ」という意識がうっすら透けて見えるような感じです。

 でも、北京の取材でもそうですが、「ハレの日」の、特別なある一日の出来事である限りは、絵に描いた餅のままですよね。

なんのコネもない、「普通の女性」が議員になるには

――「女性が輝く社会」の実現には、女性国会議員を増やすことは必須かと思います。研究を経た今、何が必要だと思いますか。

安藤 「イエ」ではなく「個」を評価して欲しい、というのが本の裏テーマでもあるんですけど、名家出身じゃなくても、政治家の家系でなくても、選挙資金や一定の支持者がなくても、どんな人でも平場から立候補できる候補者選定の改革が必要です。現在の「イエ中心主義」的な候補者選定プロセスに、女性候補者は男性候補者以上に影響されているからです。

 なんのコネもない「普通の女性」が候補になることは本当に難しい。普通の女性が候補者になるために、名ばかりではない本当の公募制度の仕組みを求めたいですね。

――女性半分、男性半分の候補者割当制も提言されていました。

安藤 一度だけでいいので、やってみたらいいと思うんです。何も女性を半分当選させろと言っているんじゃなくて、候補者の半分が女性のリストを有権者に提示してみてほしい。

2023.07.26(水)
文=小泉 なつみ