あまたの寺院を擁する王都バンコク。いずれの境内も、独自の個性に満ちている。王国屈指の寺格と必見の寺宝を有し、聖なる空気を感じさせる3つの寺院を3回にわたりご紹介。
現王朝の開祖が建立した由緒ある王室寺院
◆Wat Suthat(ワット・スタット)

この名刹の門をくぐらんとする者の目を引きつけるのが、入り口とは道を挟んだ場所に立つ、赤い鳥居のような建造物である。その高さは約21メートル。

これはサオ・チンチャーと呼ばれ、1935年までは、巨大ブランコがぶら下がっていた。ヒンドゥー教の儀式の際には聖職者4人の乗ったブランコが揺らされていたが、死傷者が続出したため、取り外されてしまったのだという。

ワット・スタットは、19世紀初頭に現王朝の開祖であるラーマ1世が建立した、由緒ある王室寺院。

純白の外観が清らかさを湛える大きな礼拝堂の中央には、体高約8メートルの金色に輝く仏像が安置されている。それを囲む内壁一面に描かれているのは、『ジャータカ』という仏典に材を取った絵画。躍動感に満ちた物語をひとたび追い始めれば、飽くことはないだろう。

なお、この周辺は、バンコクきっての仏具店街。お供えから仏像まで、信仰にまつわる様々な物が売られている。仏像マニアのみうらじゅん氏は、訪タイのたび、この地に足を向けるのだそう。

Wat Suthat(ワット・スタット)
所在地 146 Bamrung Mueang Rd., Phra Nakhon, Bangkok
電話番号 063 654 6829
拝観時間 8:00~18:00
休館日 無休
拝観料 100タイバーツ
https://www.facebook.com/WatSuthatBangkok
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Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2023.07.05(水)
文=下井草 秀
撮影=佐藤 亘
CREA Traveller 2023 vol.2
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。