「オタク」として趣味を活かす仕事をするように

ーーそこからゲームであったりオタクとしての趣味を活かしていくんですね。それ以前はなかなかそうした面は出せなかった?

椿 事務所に「出すな」って言われてたんですよ。「オタクはまだイメージがあまりよくないから」みたいな。当時はオタクに対しての偏見も強くて。せっかく事務所的には女子大生アイドル、綺麗なイメージで売っているのに、オタクなイメージをつけたくなかったんです。だから「言うな」って。ツインプラネットを辞めて、ホリプロに入ってからは、自分の趣味であったり、MCの仕事を中心にやるようになりました。

 今はアニメ好き、ゲーム好きの女性タレントは多いですけど、当時はほとんどいなかった。 好きでも公言できないし、事務所からストップもかかっていたと思うんです。それこそ、公言しているのはしょこたん(中川翔子)ぐらい。途中で矢口真里さんが入ってきたけど、オタクにすごく叩かれていましたね。

ーー矢口さんへのオタクの反発、確かにあの当時はありましたね。

椿 矢口真里さんに悪気はないんだけど、オタクたちが認めるくらいやりこんでいないだけで「私、超このゲーム好きです」って言っちゃってたので、オタクたちも「俺たちの好きなゲームを仕事に利用するな」という感じがありました。矢口さんの話ではないのですが、当時は私もいちガチゲーマーとして、ゲーム全然わからない子がゲーム番組に出ていて事故ってたりすると、もったいないなあと思っていました。

 一方で私は、ゲームの仕事が来ても「そのタイトルは好きだけど、全シリーズやり込んでないから失礼」と仕事を断ったこともありました。そうしたら、私より全然そのゲームをやっていない子が「好きです」って私の代わりに出演していて。「それだったら、私が受けたよ」となったり。

 でも、好きって人それぞれで度合いが違うので、その時の矢口さんの好きは、それはそれで嘘じゃない本当の気持ちなんですよ。ほとんどのゲームでも8、9割はオタクが認め難いいわゆるにわか、ライトユーザーなので、やっぱ大事にしないと、そのコンテンツは滅びる。今は1割のガチ勢の声が大きすぎる気もしますね。

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2023.06.08(木)
文=徳重龍徳