ただし全般的に言えるのは、Fire TV Stickに関しては、標準で用意されている機能だけでは決して十分とは言えず、サードパーティー製の有料アプリを入れてようやく本領を発揮するということです。この点さえクリアすれば、特にミラーリングについては、Chromecastよりも融通が利く印象です。

 一方のChromecastは、わざわざアプリを起動しなくても接続できる手軽さが売りで、AndroidもしくはGoogle製アプリからの出力はほぼ完璧にこなせます。例えばiPhoneで撮った写真は、iPhoneの写真アプリからの直接出力はできませんが、Googleの「フォト」アプリで表示すれば、フォトアプリ側のキャスト機能を経由して簡単に出力できます。

 その一方で、例えばiPhone/iPadの画面をまるごとミラーリングで出力するには、標準の機能だけでは対応できず、スマホ側に有料アプリを入れる必要があります。またAndroidスマホでも規格によっては標準機能では対応できず、この場合もやはりアプリが必要になります。「Androidを使っているならChromecast一択」と言えれば楽なのですが、必ずしもそうでないのが実情です。

 全体的には、手軽さならばChromecast、一手間かけることによってより汎用的に使えるのがFire TV Stickといったところでしょうか。OSで分けるならば、ChromecastはAndroid寄り、FireはiPhone寄りと言ってよさそうです(これも超ざっくりとした分け方なのは否定できません)。いい意味でも悪い意味でも、甲乙つけがたいというのが、評価ということになるでしょう。

 

「Amazon派」か「Google派」かで選ぶのもひとつの方法?

 最後に、その他の付加価値についても触れておきましょう。Fire TV Stickは、オンラインフォトサービス「Amazonフォト」に保存されている写真をクラウドから直接読み込み、テレビ画面上でスライドショー表示できる機能があります。一方のChromecastも、写真共有サービス「Googleフォト」で同じことができます。

2023.06.03(土)
文=山口 真弘