従って、とにかく目的の動画を発見することに主眼を置くならば、Chromecastのほうが便利です。観たい動画が見つかれば、そこから必要に応じてサービスと契約するかどうかを決めればよいというわけです。配信されているか分からないが、見逃したままになっている映画やドラマ、アニメを探す場合には重宝します。

 一方で、契約しているサービスの中に目的の動画がなければそれ以上深追いせずあきらめるという人は、Fire TV Stickで十分です。こちらはリモコンに、対応サービスを直接呼び出すためのボタンを多数搭載しているので、個別のサービスを呼び出して検索するのも容易です。Chromecastのように「観たいけどこのサービス契約していないんだよな……」と、がっかりすることもないでしょう。このあたりはユーザの好みによります。

 

「スマホやPC画面をテレビに出力したい!」そんなときの機能を比べてみると…

 動画配信サービスの視聴に加えてもうひとつ、これらの製品の特徴と言えるのが、スマホやPCの画面をテレビに出力する機能です。スマホで撮った写真を大画面で楽しんだり、PCで表示中のブラウザの画面をテレビで誰かに見せるといった使い方ができます。

 こうしたテレビ画面への出力は、大きく分けて画面をまるごと表示する「ミラーリング」と、コンテンツの中身、例えばYouTubeであれば再生画面だけを出力する「キャスト」の2種類があります。

 実際にはごっちゃになって使われていることも多々あるのですが、これらを意味するアイコンをタップし、出力先を指定するだけで、テレビ画面に表示されるという操作方法は共通です。

 では、Fire TV StickとChromecastとで、どちらが優秀なのでしょうか。正直なところ、これは一概にどちらが上とは言えません。出力元がiPhoneかAndroidか、はたまたWindowsかMacかによっても結果は変わりますし、キャストする場合はアプリが対応するか否かによっても変わります。また出力自体はできても、解像度が低かったり、表示の遅延がひどかったりと、使いものにならないこともしばしばだからです。

2023.06.03(土)
文=山口 真弘