期待のハードルがこの上なく高まっていたにもかかわらず“絶賛の嵐”
まず、フィールドの層が約3倍になった。前作は地上だけが冒険の舞台だったのだが、今度は空に浮かぶ島や、暗くて不気味な地下世界まで冒険できるようになったのである。
空に浮かぶ島はあくまで一部にしかないが、それでもかなり広くなったのは間違いない。いままでは地上だけが舞台だったのに、縦方向に一気に広がったのだ。
また、主人公が使える道具が大幅に進化している。物を動かしたりくっつけることができる「ウルトラハンド」、武器と素材を合体させられる「スクラビルド」、そして物の時間を戻す「モドレコ」の3種類が新作のメインとなるのだが、これがとんでもない可能性を持っているのである。
任天堂の開発陣は、近年の「ゼルダの伝説」のおもしろさを「かけ算の遊び」と表現している。この言葉のとおり、ゲームを進めれば進めるほどおもしろさが倍増していくという、驚くべきシステムを構築しているのである。
ウルトラハンドは、掴めるものであればなんでも動かせるし強引にくっつけることができる。板を繋げて橋を作ったり、棒を繋げてそれによじ登ってもよい。
丸太をくっつければイカダになるし、本作では扇風機やタイヤなどの特殊なパーツが用意されているので、なんなら車や戦車を作ることもできる。炎を吐きながら敵をなぎ倒す車両や、ロケットで一気に上空へ舞い上がる料理鍋など、可能性はプレイヤーの想像力次第だ。
すでに人型のロボットを作ろうとしている人がいたり、特殊な仕掛けを用いてバイクを実現している人もいる。まだ発売されたばかりなので、これからどんどん新たな可能性が出てくるだろう。
もちろん、地味で無骨なものを作ってもよい。木の板を適当に繋げれば階段になるし、馬のハーネスに荷台をつければ大きな物を運ぶこともできる。課題をクリアできれば工作のレベルが高かろうが低かろうが良いというのが、本作の自由さなのだ。
2023.05.28(日)
文=渡邉 卓也