秋篠宮夫妻が、5月6日に開催されるイギリスのチャールズ国王の戴冠式に参列するため、4~7日にイギリスを訪問している。

 今回、この訪問は天皇が差し向ける「差遣(さけん)」という形で戴冠式に出席する方式を採る。前のイギリス国王であるエリザベス女王の戴冠式(1953年)の時は当時の皇太子であった現上皇が、昭和天皇の名代として参列した。名代とは天皇の代理という意味である。

秋篠宮さまが戴冠式に参列する意味

 これまで、イギリス国王の戴冠式はすでに即位した王や女王は参列しないという慣例があった。それもあって、エリザベス女王の戴冠式では、昭和天皇ではなく皇太子が参列した。ちなみに、その前のジョージ6世の戴冠式(1937年)の時は明仁皇太子ではなく、昭和天皇の弟である秩父宮が天皇の名代として、妻である勢津子妃とともに参列している。明仁皇太子が1933年生まれでまだ幼少であったがゆえに、この時は天皇の弟である秩父宮が参列した。

 実はこの差遣と名代の二つには微妙な差異があるように思われる。差遣は天皇が派遣するという形式を採る。そこには、天皇が代理であるその人に思いを託したという意味がある。それに対して名代はより正式な代理という形式で、閣議決定を必要とする。今回、あえて秋篠宮が差遣という形でイギリスを訪問し、チャールズ国王の戴冠式に参列することとなった。平成以降、天皇の名代として外国を訪問した皇族はいなかった。その例にならったのだろう。しかし、差遣でも天皇皇后と相談して誰が行くかが決められている。皇室として、その人に自らの思いを託したという意味が強いのではないか。

 

各国からは即位した王や女王も参列

 とはいえ、今回、チャールズ国王は自らの戴冠式で、これまでの慣例を変えようとしていると報じられている。具体的には、すでに即位した王や女王の参列を求めたという点である。ヨーロッパ各国では、スペインやオランダ、スウェーデンなどの国王が戴冠式に参列すると言われている。チャールズ国王は、日頃から交流のあるヨーロッパの王国の友人たちに、自らの戴冠式に参列して欲しいと考えたのだろう。各国も今回、それに応える形を採った。その点では、日本も天皇と皇后の二人が戴冠式に参列してもおかしくはない。

2023.05.18(木)
文=河西秀哉