虻川 その後すぐに2軒目に移動して作戦会議までして。みはるさん(※モノマネ芸人。Mr.シャチホコさんの妻)はメールの文面を考えるのがうまい恋愛マスターって感じで、「いきなりハートは重いから赤いリンゴの絵文字をハート代わりにしよう」と考えてくれて、そのまま送りました(笑)。そうした皆の助けがあって、彼とお付き合いできるようになったんです。

――過去のインタビューで、女芸人の方の中には恋愛や結婚を諦めているとおっしゃっていた方もいました。虻川さんも芸のために恋愛を封印していたようなところはありますか?

虻川 結果的にそうなっていましたが、我慢とか諦めというよりかは、ずっと仕事に200%の力を使っていたので他のことを入れ込む余地がなかった、という感じです。

会う人全員、敵だと思っていた

――ではバーのママの一言から行動されて、恋愛、結婚、出産と大きくシフトチェンジしていったわけですね。

虻川 人生の幅というか、それこそ片思いのネタも『はねるのトびら』でやったりしてたので、仕事以外に目を向けてもいいんじゃないかと思えたんです。道端に咲いてる花に幸せを感じられるような感覚は産後はじめて知ったかもしれません。今までの自分が人間としてどうかしてたんだと思います(笑)。

――それだけ仕事の環境が過酷だったと。

虻川 それまでは、会う人全員、敵だと思っていました。どうかしてますよね(笑)。時代もあったと思いますが、それこそ笑いのためには周りを傷つけることも厭わないみたいな生き方をしていました。

写真=橋本篤/文藝春秋

「収録後に謝罪に行ったけど、あそこまでしなくてもよかったなと…」虻川美穂子(48)が明かす、“どうかしていた”『はねトび』の舞台裏 へ続く

2023.04.11(火)
文=小泉なつみ