日頃から懇意にしてもらっている元ゴールデン・カップスのエディ藩(通称コウちゃん)から、元タイガースの瞳みのるさんとはGS時代以来の付き合いがずーっと続いているという話は前に聞いていたので、これは渡りに船。是非ともご両人にまずは登場願わねば! 何といっても、同じGSとはいえ両極端に位置するのがこの二つのグループであるのは周知のこと。「貴重なエピソード満載の巻」にならぬ訳がない。瞳みのるさんの連絡先はコウちゃんから教えてもらった。
重鎮作家は鈴木邦彦さんと決めていた。というのも邦彦さんはGSのみならず、時の“和製ポップス”の立役者だったからだ。そのあたりの時代の業界ならではの匂いなどについても一度は詳しく伺っておきたかったのである。
お願いをしたら邦彦さんは快く取材を引き受けてくださった。本当にありがとうございます。
そんな感じでお膳立てがととのえば、あとはライターの下井草秀の都合だけである。あいつも忙しいからなぁ……。
下井草とはふた回り近くも歳が離れているのに、何について話をしようとも、まず大抵の場合、年齢差を感じることがない。無論、それはなにより下井草の際立った情報収集能力の賜物ではあるのだけれど、今回もまた然りで、GSといえば下井草の生まれた頃の出来事なのである。それがよくもまぁ俺のような専門家(笑)! を相手にこれだけ自然なやりとりが出来るものだと感心してしまった。とはいえ流石にこれはリアルタイムを経験していないなと思わせる場面もいくつかあった。
例えば冒頭。下井草によれば、アストロノウツのヒット曲「太陽の彼方に」は、日本語歌詞のカバーヴァージョンが話題になったというのだが、私の記憶では当時これはそこまでの反響はなく、ちゃんとヒットしたのは、ずっとあとゴールデン・ハーフがリバイバルで吹き込んだ時である。
一体下井草のアタマのなかにはどんなGSの世界が広がっているのだろう? それであえてゲラ修正をしなかった箇所もある。
いずれにせよ、この名編集者は、一を聞いて十を知るというか、それこそ私の言葉に足らなかったものをさりげなく、さも私の発言のようにして混ぜたり加えたりして、もっともらしいものに仕上げてくれるのである。
いつも感謝です。
おかげさまでこうして素晴らしい形にすることが出来た。
ごく私的なGSの思い出ゆえ、つっこみどころも満載ではあるが、話の種にはなると思う。皆様には楽しんでいただければ幸いである。
「まえがき」より
2023.03.09(木)
文=近田 春夫