この記事の連載
- 『猫は毛色と模様で性格がわかる?』より#1
- 『猫は毛色と模様で性格がわかる?』より#2
【茶トラ】オスが8割の茶トラは「やんちゃ」で「甘えん坊」
茶色やオレンジの毛色をつくるO(オレンジ)遺伝子は「変異型」。この顕性遺伝子Oがあると、キジトラは黒毛をつくるメラニンがなくなり[※2]、毛の1本1本が茶色に。これが茶トラです。そして、もう1つ特徴的なのは、圧倒的にオスが多いこと。これも遺伝子の仕業です。 O遺伝子のうち、O(顕性)を持ち、o(潜性)を持たないのが茶トラになる条件。O遺伝子は性染色体のX染色体上にあるので(性染色体上にある遺伝子による働きを伴性遺伝という)、X染色体を1つしか持たないオス(XY)に比べ、2つ持つメス(XX)はほかの毛色になる確率が高いのです(つまり両方のX遺伝子にOがないと茶トラになりません)。茶トラに大柄な子が多いのも、食いしん坊な印象が強いのも、オスが多いからだといえるでしょう。
オラオラとデレデレが表裏一体
茶トラの飼い主さんは、愛猫について異口同音にこういいます。「甘えん坊」で「食いしん坊」、「のんびり屋さん」だけど時には「やんちゃ坊主」。つまり、茶トラは男の子っぽいのです。個体差はあるにせよ、とにかく人懐っこく愛嬌たっぷり。研究によれば、オレンジの毛色を持つ猫は、はっきりとした攻撃性が見られるそう。一方で、茶トラはフレンドリーという研究結果もあります。CAMP-NYAN の調査でも、茶トラの性格はとてもはっきりしていて、攻撃性と愛着性が全毛色の中、最も高く1位、活動性と社交性の高さが2位でした。近所の野良猫の勢力図を思い浮かべると、ボス猫は大きな茶トラであることが少なくありません。強くて、人望(猫望?)のある猫が多いのかもしれません。
食欲旺盛な茶トラ猫が何より気をつけたいのは肥満です。良質なフードを適量与えることが肝要ですし、オモチャなどで遊んでカロリー消費を心がけるとよいでしょう。また、甘えっ子ということは、さみしがり屋という側面もあります。ストレスが溜まらないように、お留守番の時間は短くしましょう。常に誰かが家にいる環境なら絶好。お子さんやほかの猫とも仲良くなれますから、大家族向きの猫でもあります。
※1 飼い主に詳細なアンケート調査を行い、猫の種類をキジトラ、キジ白、茶トラ、茶トラ白、サバトラ、白猫、黒猫、白黒系、三毛猫に分け、活動性や社会性など猫の代表的な6つの性格について数値化した。本書で参考にしている結果は予備調査であり、科学的な検査等を実施したものではない。
※2 顕性のA(アグチ)遺伝子を持っていてもそのA遺伝子の働きが抑えられて、黒メラニンがつくられなくなる(O遺伝子はA遺伝子より上位)。
猫は毛色と模様で性格がわかる?
定価 1,848円(税込)
エクスナレッジ
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2023.02.22(水)
文=斎藤ユカ