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猫の祖先の姿を色濃く残すキジトラの性格は野性的?

 祖先であるリビアヤマネコの毛色と柄を受け継ぐキジトラは、やはり野生的な性格なのでしょうか? CAMP-NYANの調査[※1]によると、性格をはかるどの要素も平均的な数値でした。極端に野生味があるわけではなさそうです。一方で、別の研究では、キジトラの縞模様(アグチ模様とも)は攻撃性の高さと関連があり、活発性や攻撃性が高い傾向にあるとの結果も。ワイルドで人間になかなか心を開かない子もいる、という声も聞きますが、これらの遺伝子に由来するのかもしれません。そんなキジトラですが、飼い猫になった途端に甘えん坊になってしまう子は多いようです。そのためか、一度キジトラと暮らすと、次の猫もキジトラをと望む人は少なくありません。

 元気ハツラツなキジトラの飼育環境はその運動能力に合わせて整える必要があります。猫は一般的に広さよりも高さを求めるといわれているので、キャットタワーで上下運動をさせることも有効。また、天性のハンターでもあるので、猫じゃらしやボールなどのおもちゃも用意したいですね。

縄張り意識の強い子も。多頭飼いは慎重に

 キジトラは、特にオスでは大型化することもあり、食いしん坊な子も多いとされています。ただ、やんちゃで活動的なので、しかるべき運動量を保てば肥満も回避できるでしょう。体が丈夫で、長生きする個体が多いとされているキジトラは、飼い主さんが環境に気を配ることで長く家族の一員であってくれるはずです。

 野性味が強いということは、縄張り意識も強いということ。多頭飼いをする際は、特に注意が必要です。先住猫や新入り猫とは、少しずつ慎重に顔合わせを。仲良くなってしまえば、飼い主さんが間に入り込めないほど親密な関係になれるでしょう。

 人間もまた同様です。保護施設からキジトラを譲り受けたりすると、飼い主になかなか懐かないこともあるでしょう。でも気長に付き合えば、いつか必ず心を開き、デレデレベタベタの飼い猫になってくれるはずです。野性味あふれる甘えん坊、猫好きにとってキジトラはやっぱり魅力的ですね。

2023.02.22(水)
文=斎藤ユカ