この記事の連載
100年の贈りものストーリー #1
100年の贈りものストーリー #2
100年の贈りものストーリー #3
日本は世界でも有数の“贈りもの大国”だと言います。
目まぐるしく変貌を遂げた日本の100年、いつの世も、誰かが誰かに贈りもので気持ちを伝えてきました。“贈る人”に信頼され、“贈られる人”を喜ばせる。
そしてこれからの100年もきっと、変わらず愛される、そんなブランドの物語です。
【since 1890】帝国ホテル
特別な日、100粒のいちごを使ったショートケーキを歴史の風景とともに
![周年記念や長寿のお祝いにふさわしい、約100粒のいちごを使用した「フレーズボヌール」24×24×7.5cm(トッピングを除く) 39,000円(7日前までに要予約)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/e/1280wm/img_deaaf8a66ff9b1b98b4f6f484a0fe7e9783327.jpg)
1923(大正12)年9月1日。今から100年前のこの日、20世紀を代表する建築家、フランク・ロイド・ライトが手掛けた帝国ホテルの2代目本館「ライト館」が開業した。奇しくも開業披露宴中に関東大震災に襲われ、周辺の建物の多くは倒壊、焼失した中、ライト館はほとんど無傷だったという。
![ホテルは1890(明治23)年、海外からの賓客をもてなす迎賓館としての役割を担い開業。2代目本館を建築したライトは日本が地震大国と知り、耐震性と耐火性を重視して設計した。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/c/1280wm/img_dcb79532b3d288fc1f3d684a76d93a78279031.jpg)
関東大震災で、ホテルは近隣住民への炊き出しはもちろん、結婚式が挙げられず困っている人たちのために、ホテル内に神社を設置。当時は神社や自宅での婚礼が一般的だったのだが、これにより、一つのホテル内で着付けから挙式、披露宴、記念撮影までを行う“日本のホテルウエディング”が誕生した。
目の前にいるお客さまが何を求めているかを探り、それに応えていくことで、新しいサービスを生み出していく。そんな一流ホテルが紡ぎ続ける最高のおもてなしは、今もしっかりと受け継がれている。
さて、手みやげの聖地・ホテルショップ「ガルガンチュワ」は、「帝国ホテルの味をご家庭で」をコンセプトに71年に開店。この年は、マクドナルド1号店が銀座にオープンしたり、安藤百福がカップヌードルを発売したり、新しい食の時代の幕開けでもあった。ハンバーグ、カレー、コロッケなどのデリカテッセン、ベーカリー(ちなみに、ホテルベーカリーは2022年で111周年!)で焼かれたパンや本格的なケーキが登場。
![食パン生地をクロワッサン生地で包んだ新感覚の食パン「セルン」。2斤 3,240円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/5/1280wm/img_15dfd1f6ad2ec6f9b2a5be0dda0e66bd509387.jpg)
74年には、面積が3倍に増え、当時の料理長・村上信夫氏がこれらの商品の監修を行った。コンソメスープ、冷凍食品のビーフストロガノフとシーフードグラタンも好評を博した。アイスクリームやマーガリン、ドレッシングなど、今も人気の商品が生まれたのもこの時代。商品のラインナップの変遷を見れば、どれも、その時代の最先端の味だったことがわかる。
憧れのグルメショップとして、いつの時代も、お客さまに寄り添いながら、豊かな暮らしを演出してきた。
![伝統菓子「サントノレ」を、ピスタチオを使って現代風に。2月末まで。1,600円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/2/1280wm/img_e202c576649ad6f76e5cacd0a73ef385294384.jpg)
21年、「ガルガンチュワ」は50周年を迎え、帝国ホテルプラザ 東京へ移転。第14代東京料理長の杉本雄氏が監修している。目的別の3ヵ所に分かれ、モダンな空間でのプレゼンテーションはとてもシック。入店するだけで高揚感に包まれる。
ホテルはどんなお客さまの要望にも応える懐の深さが必要と、幅広いラインナップが特長だ。ブルーベリーパイなどの伝統の味を残しつつ、量り売りや1個売りといったスタイルも導入。食の未来を見据え、環境に配慮した商品も開発している。
![“耳までやわらかいパン”を開発して、食品ロスの削減を実現。そのパンを使った「W・E Breadサンドイッチ」2,268円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/b/1280wm/img_6b34008bf3e9f2aaeecbc6b1986735f5305920.jpg)
「お客さま一人ひとりのご要望にお応えするための“多様性”。すなわち、“誰一人取り残さない”という食のバリアフリーこそが、おいしく社会を変える取り組みだと考えています」と話す杉本料理長の言葉に、ホテルショップのこれからの在り方が見えるはずだ。
![「ライト館 100周年アニバーサリークッキー」。ライト館のイラストをあしらった限定缶。4,320円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/4/1280wm/img_0486e57f69bd98c32d27ab988ed4565d639788.jpg)
「ライト館」は一部が愛知県犬山市の明治村に移築され、数年後には現本館も新しく生まれ変わる。
伝統と革新を繰り返してきた日本最高峰のホテルの味は、さらなる進化を遂げることだろう。
帝国ホテル 東京「ガルガンチュワ」
![洗練されたインテリアデザインの「ガルガンチュワ」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/3/1280wm/img_13a788de6bd9faded4c5a7e8310cf40a246150.jpg)
所在地 東京都千代田区内幸町1-1-1帝国ホテルプラザ 東京 1F
電話番号 03-3539-8086(直通)
営業時間 10:00~19:00
定休日 無休
https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/hotelshop/
![](https://crea.ismcdn.jp/common/images/blank.gif)
今までも、これからも届けたい
100年の贈りものストーリー
2023.02.04(土)
Text=Mika Kitamura
Photographs=Yosuke Suzuki(Erz),Atsushi Hashimoto
Styling=Tomoe Ito
CREA 2023年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
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