皇居乾通りを紅葉が彩り始めた11月16日、天皇皇后両陛下はポルトガルのサントス・シルバ議長夫妻と御所にて面会された。陛下のネクタイと雅子さまのスーツは「銀杏を思わせるゴールド。まさに錦秋の装いです」と歴史文化学研究者の青木淳子氏は語る。

お誕生日でも着用された、品格漂うゴールドスーツ

「ご自身と周囲を明るく照らす色だからでしょう、両陛下の仲睦まじい『ゴールドコーデ』は、雅子さまのお誕生日や国際親善の席で披露されてきました。

 雅子さまのスーツは、皇后になられて初のお誕生日(2019年)でも着用されたもの。華やかな光沢がありながら、装飾は控えめで品格漂うデザインです。お誕生日のご近影では右手にパールの指輪を合わせておいででしたが、今回はつけていらっしゃいませんね。議長夫妻と握手される際のご配慮かもしれません」(同前)

 11月2日のドイツ・シュタインマイヤー大統領夫妻との面会でも、両陛下は『ゴールドコーデ』でお出ましになった。

「天皇陛下のネクタイは今回とは違う織りで、雅子さまのジャケットの襟やスカートにきらめく金のレースと、非常にマッチしたお色味でした」(同前)

 

元宮内庁職員も驚く「非常に珍しい」お姿とは?

 気品ある輝きを纏い、ドイツとポルトガルの賓客を迎えた両陛下。ただし「一つ“決定的な違い”があった」と山下晋司氏(元宮内庁職員・皇室解説者)は指摘する。

「非常に珍しいことに、ポルトガル議長夫妻とは円卓を囲んで4名でお話しされていました。慣例では横並びになり、天皇陛下は主賓、皇后陛下はその配偶者と一対一で歓談されます。事実、ドイツ大統領夫妻とはそのスタイルでした。

 宮内庁で勤務した経験から申しますと、今回のような変更は職員からの提案ではなく、通常、両陛下のご意向を踏まえて行われていました。マスクによる隔たりがある今、より和やかな交流の場を作れないか、両陛下も日々模索していらっしゃるのでしょう」(同前)

 ポルトガル議長夫妻との面会は打ち解けた様子で進み、天皇陛下は来年の国交480年に向けて、より親密な関係を願うお気持ちを伝えられたという。

 お二人の“親しく平等に寄り添う”姿勢が表れた円卓会談。円満外交のシンボルとなるか、今後に注目だ。

2022.12.06(火)
文=「週刊文春」編集部