役へのアプローチはハリウッドの演技コーチから学んだ

――毎回の役作りはどのようにされていますか?

のん 現場に入る前、台本を読んだら、まず役についての事柄をノートに書き出しています。たくさんの項目があるんですが、大きくはその役の人生の目的、その目的の障害になるもの、その役のペイン(枠)の3つ。

そうすると台本がすごく読みやすくなるんです。以前、アーロン・スパイザーさんのワークショップで教わってからずっと続けていて。

 

――ハリウッド俳優のウィル・スミス、ジェニファー・ロペス、マーゴット・ロビーらの演技コーチですね。

のん はい。すごく自分にフィットしたみたいで、最短距離で役に辿り着けるというか。私は現場では役に縛られるんじゃなく、役として自由でありたいんです。そのためにはあらかじめ役をよく理解していなくちゃいけない。

事前に役の背景をしっかり掴んで、「この台詞のときはこういう感情かな?」とか「ここは台詞とは裏腹な気持ちだよな?」とか、台詞を読み解いた上で演じているんですね。

台本というのは役者が100人いたら100通りの読みかたがあると思うんですが、どう解釈するかで深みも広がりも変わるので、めちゃめちゃ繊細に読むよう心掛けています。

あとは現場で共演のかたと合わせたとき、五感を働かせながら役を動かしていくことも大事にしていますね。

来年7月で30歳に。20代をひと言で振り返ると…

――のんさんは来年7月に30歳を迎えます。まだ少し時間はありますが、20代をどう生きてきたか、ひと言で表すとしたら?

のん …「壮絶」ですね(笑)。この年にしてはかなりガッツのある20代だったと思います。私は自分の演技が大好きで、それを守りたいという意識を強く持ち続けてきたので。自分の才能を死なせないために、自分で選んだ道を全力で突き進んできたというか。

――俳優以外にも、アートや音楽など、小さい頃からずっと興味があった活動もスタートさせましたね。

2022.10.24(月)
文=内田正樹