長時間書き続けても、このPCならストレスフリー

 高瀬さんが作品執筆に使うソフトは、Microsoft Officeの「Word」。今回の<Yoga Carbon>も、まずはWordでテキストを打ち込んでみることから試してみたという。

「まず感じたのが、キーボードのデザインがかわいいということ。一つひとつのキーが曲線を帯びていたり、印字されている文字が淡い色合いだったりして、なんとなく目に優しい感じがするんですよね。実は私、ローマ字入力ではなくかな入力で原稿を打ち込むので、キーボードのひらがなを目で追っている時間が長いんです。だから、このかわいくて優しいデザインはホッとします」

 <Yoga Carbon>は、本体ほぼいっぱいまで幅を広げた「Edge to Edgeキーボード」設計を採用するなど、操作性を追求していることも大きな特長。キーを打った時の感触もなめらかだ。「確かに、『バシャバシャ!』ではなく『シャンシャン』って、打つ音まで優しい感じでした」と、高瀬さん。

「小説の場合、延々とキーボードを打って文章を書き続けることが多いので、キーの音がうるさいと悲しくなってくるんです(笑)。この静かさだったら打っていて気にならないし、周囲に人がいても迷惑になりませんね。まさにストレスフリーだと思います」

 普段、作品のプロットやアイデア、タイトル案などをメモ帳に打ち込んで保存しているという高瀬さん。執筆の際にはWordの画面とメモ帳の画面を両方立ち上げ、作品を書き進めつつも、思いついたことはどんどんメモしていくというスタイルだという。本体の端ぎりぎりまで確保した<Yoga Carbon>の大きなディスプレイパネルは、そんな高瀬さんにとってかなり使いやすそう。

「インターネットも同時に立ち上げて、書きながら気になったことを検索する場合もあるので、このサイズの画面はすごく便利ですね。ただ、『おいしいごはんが食べられますように』の場合はちょっと書き方が違っていて、メモをとらず、いきなりWordで文章を書き始めてしまったんです。

 自分と対話するみたいに、『ここにいるのは男の人のような気がする』とか、『じゃあ会社員なのかなぁ』とか考えながら、ただの独り言をつらつらと書いていたら、それが何百ページにもなってしまって。

 その膨大な文字量のファイルから、一部分をコピペして別ファイルにしたり、必要なさそうなところを削ってまた保存し直したりして、だんだん小説の形になっていったという感じです。気づいたら、ものすごい数の日付入りWordファイルがデスクトップに並んでいました(笑)」

 パソコンがなかったら原稿用紙の山に埋もれていたかも……と笑う高瀬さん。幅広い読者層に支持される高瀬さんの作品は、ノートパソコンというパートナーとWordなくしては生まれないのかもしれない。

2022.09.26(月)
文=張替裕子(giraffe)
写真=平松市聖
スタイリスト=河合真奈